日本人女性の9人に1人が乳がんにかかると言われています。
女性にとって乳がんは他人事ではなく、だれもがなりうる病気です。
当院は、阪神間では数少ない、女性スタッフのみの乳腺専門のクリニック。乳房に関する症状を気軽に相談できるのが特徴です。
乳がんの早期発見のために、迅速かつ正確な診断を行うことを目指して、最新の機器による検査と、日本乳癌学会 乳腺専門医である女性院長が診療にあたっています。また、乳がん診断後の治療に関しても、切れ目なくサポートできるよう、地域の病院と連携しています。
お困りのことがあれば、気軽にご相談ください。
まずは乳がんについて知ることから始めてみましょう。
乳房は母乳をつくる乳腺と、それを包む脂肪組織、皮膚・乳頭乳輪、結合組織・血管・リンパ管などから構成されています。
乳腺は母乳を分泌する「小葉」と、母乳の通り道である「乳管」から成ります。
乳がんは乳腺の組織にできるがんで、多くは乳管から発生しますが、一部は小葉から発生します。男性にも乳腺組織があるため、乳がんを発症することがあります。
乳がんは日本女性が最もかかりやすいがんで、日本人女性の9人に1人が新たに乳がんと診断されています。年間におよそ9万人以上が乳がんと診断されています。また、年間でおよそ1万4千人の方が乳がんで亡くなっています。
乳がんは幅広い年代の方がかかります。30代後半から、40代~60代にかけて罹患率のピークがありますが、20代の若年者、70代以上の高齢者の方でもかかります。
乳房の細胞のDNAに損傷が生じ、その修復がうまくいかない場合、その異常な細胞が増殖して、乳がんが発生します。正常な細胞は、損傷があると修復されるか、またはアポトーシス(プログラムされた細胞死)を経て除去されますが、がん細胞はこのプロセスを逃れます。 通常の細胞の制御を逃れた乳がん細胞は、無制限に分裂を続けます。
異常に増殖した乳がん細胞は腫瘍を形成し、最初は乳房内にとどまります(非浸潤がん)。しかし、進行するとこれらの細胞は周囲の組織に浸潤し(浸潤がん)、血管やリンパ管を通じて、リンパ節や肺、骨、肝臓など、他の部位に転移することがあります。これが乳がんの悪性度を高める要因となります。
以下に、乳がんの発生の要因をまとめます。
遺伝的変異は乳がんの発生において重要な役割を果たします。特に、BRCA1とBRCA2という遺伝子の変異は乳がんリスクを大幅に増加させます。これらの遺伝子は通常、細胞のDNA修復を助け、がんの発生を防ぐ役割を果たしますが、変異があるとその機能が失われます。
エストロゲンとプロゲステロンといったホルモンは、乳房組織の細胞増殖を促進します。これらのホルモンの長期間の暴露は、乳がんのリスクを増加させます。例えば、閉経後のホルモン補充療法は、乳がんリスクを高めることがあります。
環境的要因も乳がんの発生に寄与します。これには、放射線被曝、特定の化学物質への暴露などが含まれます。若年期に胸部に放射線療法を受けた人は、乳がんリスクが高まることが報告されています。
ライフスタイルも乳がんの発生リスクに影響を与えます。アルコールの摂取、肥満、運動不足は、乳がんリスクを増加させます。また、食事や喫煙もリスク要因として挙げられます。
乳がんの5~10%程度が、遺伝的な要因とされていますが、残りの90~95%は食生活、出産、授乳などの環境因子が影響するとされています。
実際には、遺伝的要因、ホルモンの影響、環境要因、ライフスタイルなど様々な要因が複雑に絡み合っています。これらの要因に対する理解を深めることで、乳がんの予防と早期発見に向けた効果的な対策が可能となります。
乳がんの主な症状は、乳房のしこりです。ほかにも、
などがあります。
まずは自分の乳房に意識を向けてみましょう。乳房のしこりや痛み、分泌物、皮膚の変化や左右の乳房の違いなど、いつもと違う、気になる症状はありませんか?
乳房に起こる変化は必ずしもがんとは限りませんが、気になる症状があるときは、乳腺外科で詳しい検査を受けてください。ほとんどの方は、乳房のしこりなど、自覚症状をきっかけに乳がんが見つかっています。
もう少し詳しく知りたい方は、下記のブログをご覧ください。
問診・視触診・マンモグラフィ・エコー検査で、総合的に診断を行います。
必要に応じ、病理検査(細胞診・針生検など)を追加します。
乳がんの治療は、がんの性質や進行度、患者さんの状況(閉経状態、年齢、既往歴、家族歴、要望など)に応じて、手術、放射線治療、薬物治療などを組み合わせて行います。
多くの施設では、乳腺外科医が乳がんの手術、薬物治療(ホルモン治療や抗がん剤治療など)を行います。腫瘍内科医が薬物治療を行う施設もあります。放射線治療(温存した乳房や、胸壁・リンパ節領域への外照射)は、放射線治療医が行います。
手術でがんを取り、術後の病理検査によって、術後の治療計画を検討することが多いのですが、がんの状態によっては、術前薬物療法(手術の前に行う薬物療法)を行うこともあります。
どのような治療を行うか、治療の順序は、乳がんの進行度や性格などによって変わってきます。治療法は、担当の医師と患者が一緒に選択します。
一般的な乳がん治療と検査の概要は以下の通りです。
治療について最新の情報を得るには、以下のリンクをご覧ください。
◇日本乳癌学会の「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」乳癌診療ガイドライン2018年版
◇YouTubeチャンネル「乳がん大事典【BC Tube編集部】 一般社団法人 BC Tube
一般社団法人BC Tubeは、有志の乳腺科医のチームです。YouTubeを通して、乳房の健康、乳がんの予防・診断・治療に関する正しい情報を発信されています。
◇国立がん研究センターのウェブサイト がん情報サービス
当院では、乳がんの初期治療(手術、抗がん剤などの薬物治療、放射線治療など)は、地域の基幹病院と連携を行っています。治療がひと段落して落ち着いた状況になれば、再び当クリニックで経過観察やホルモン治療を受けていただくことができます。
他院で乳がん治療中の方、治療が一段落し定期的な診察が必要な方も気軽にお問い合わせ下さい。診察の上、当院で対応ができるか相談させていただきます。
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乳がんで見られるしこりや乳頭からの分泌物などの症状は、乳がん以外の乳腺疾患で起こることもあります。専門医による診察を受けなければ、良性か悪性かの判断はできません。乳房の異常に気付いたら、乳腺クリニックを受診してください。