妊娠・授乳と乳がん②お胸に関するQ&A
授乳が終わると胸がそげ、垂れてしまいました。元に戻すことは出来ますか?
乳房の中には脂肪組織と乳腺組織があり、クーパー靭帯というコラーゲン組織に包まれ、支えられています。
授乳中は乳腺組織が発達し、クーパー靭帯がのばされます。授乳が終わると乳腺組織は元に戻りますが、クーパー靭帯は元に戻らず、支える力が弱くなり乳房が下垂します。
年齢を重ねると乳腺組織は脂肪組織に置きかわり、皮膚も伸びやすくなるため、さらに下がってきます。
思春期、月経、妊娠・出産、加齢と、女性の一生の中で、乳房はさまざまに変化をしていきます。この変化は個人差がありますが、予防できません。
授乳後や、年齢を重ねてやわらかくなった乳房は、若いころの張りのある乳房とはまた違った美しさがあります。適切な下着をつけて、美しいラインを見せることもできます。
スキンケアで皮膚の張りを保つ、乳房の土台となる大胸筋や姿勢を保つ大きな筋肉を鍛えるといったこともおすすめです。
自分のからだの変化と向き合い、乳房をいたわってあげましょう。
母乳を絞りきらなかったら乳がんになりやすい?
授乳を終えた後に母乳が残っていても、乳がんになることはありません。
授乳中は、乳房の中に常に母乳を蓄えているわけではなく、必要なタイミングになると、必要な量の母乳を作ります。授乳が終わると、残ったわずかな母乳もいずれ吸収され、体に害にはなりません。
母乳は、母親の血液からつくられます。赤ちゃんにとって最適な栄養と免疫物質が豊富に含まれています。 授乳を経験された人は、していない人に比べて乳がんのリスクが下がるとされています。
母乳がたまり「乳腺炎」になることはあります。強い胸の張りや痛みを感じるようであれば、近くの助産院や産婦人科の母乳外来に相談し、ケアを受けることをおすすめします。
また、乳腺炎などのトラブルがなかったとしても、助産師さんによるケアは、日々子育てに奮闘しているママの心身のケアに役立つかもしれません。
母乳で子供を育てた方がいい、子どももママも納得して授乳をやめたい、などいろいろな考え方がありますが、皆が同じように感じる必要はありません。様々な事情で母乳をあげられない方もいらっしゃいますし、母乳育児をやめざるを得なかった方もいるでしょう。
地域の助産師さんは、多くの赤ちゃんとお母さんのケアを経験されていますので、サポートを受けてみてはどうでしょうか?