乳がん検診で要精密検査となったら②マンモグラフィーの「腫瘤」
乳がん検診のマンモグラフィを受けた際、「腫瘤(しゅりゅう)」があると言われることがあります。腫瘤=がんとは限りません。マンモグラフィで見られる腫瘤について、がんの可能性があるものと良性のものの違いについて、説明いたします。
腫瘤とは?
レントゲン(X線)検査では、X線の通りやすさによって、白く写る部分と黒く写る部分ができます。例えば、骨はX線を通しにくいので白く、脂肪はX線を通しやすいので黒く写ります。
乳房のX線検査であるマンモグラフィーでは、乳房の中の正常な組織のうち、乳腺やリンパ節、筋肉、血管などは白く、脂肪は黒く写ります。
乳がんや良性の腫瘍は、X線が通りにくいため、白く写ります。マンモグラフィで、丸みを帯びた白い影が、かたまりとして映っているときに、「腫瘤」と呼びます。
マンモグラフィでの診断のポイント
マンモグラフィでは、腫瘤の「形」「周囲との境界」「内部の濃度(白さ)」などを観察し、良性か悪性かを判断します。
良性の腫瘤には、乳腺症、のう胞、繊維腺腫、過誤腫(脂肪や線維成分が混ざった良性腫瘤)、手術や外傷の影響などがあります。通常は、丸く、周囲との境目がくっきりした白い影として写ります。中に脂肪を含む時は、内部が黒くなります。大きな石灰化が一緒に見られることがあります。
最も一般的な乳がんである浸潤性乳管がんは、 マンモグラフィでは、ギザギザした形(不整)で境界が不明瞭な腫瘤として見えます。周囲に、ウニのようにとげとげした放射状の線が見られることもあります。
一方、のう胞内がんや粘液がんは、比較的進行が遅いがんで、マンモグラフィでは丸みのあるくりっとした腫瘤として写り、良性の腫瘤のように見えることがあります。
ギザギザした形で境界が不明瞭なものは、 がんの可能性が高まります。 丸くて境界がはっきりしている場合は、良性の可能性が高いのですが、上記のように例外もありますので、がんの可能性は否定できません。
マンモグラフィのみで、はっきりと良性、がんではないと言える場合もありますが、少しでも悪性(がん)の可能性がある腫瘤は、検診では要精密検査となります。
腫瘤が見つかったときに必要な追加検査
マンモグラフィで腫瘤が見つかった場合、可能であれば過去の画像との比較をします。定期的に同じ施設で検診を受けている場合、以前から認めている腫瘤で、過去に良性と判断されている病変であれば、精密検査は不要と判断されるときもあります。また、ほくろなどの皮膚の所見が映ったもの、豊胸術のための脂肪注入による腫瘤は、脂肪を含む良性の腫瘤と判断できます。
精密検査が超音波(エコー)検査を追加して、腫瘤の性質を詳しく調べます。 診断のために、生検(細胞診・組織診)を行い、がん細胞の有無を確認することがあります。場合により、MRI検査を追加します。 > 乳がんの検査
まとめ
マンモグラフィで「腫瘤」が見つかった場合でも、悪性とは限りません。良性の可能性が高いこともありますが、少しでも悪性の可能性がある場合は追加の検査が必要です。
乳がんは早期発見が大切です。検診で腫瘤を指摘されたら、専門医に相談し、適切な検査を受けましょう。