定期検診を受けたばかりだけど、しこりがある?!
定期検診を受けたばかりだけど、しこりがある?!もしかしたら中間期乳がんかもしれません。
乳がん検診を受けて「異常なし」と結果が出ても、次回の検診までの間にがんが見つかるケースがあります。これを「中間期乳がん(Interval Breast Cancer)」と呼びます。
クリニックでは、この中間期乳がんを見逃さないための工夫や取り組みを行っています。
中間期乳がんとは
中間期乳がんは、検診で発見されなかったが、次回検診の前に症状が出たり、自覚される乳がんを指します。中間期乳がんの発生率は、検診を受けた女性全体のうち約15~30%とされています。これは、検診の精度や患者の年齢、乳腺密度に依存します。
中間期乳がんの原因は?
中間期乳がんは、以下の要因によって発生すると考えられています。
①乳腺密度の高さ
乳房の中の乳腺密度が高い「高濃度乳房」の場合、マンモグラフィだけでは腫瘍が乳腺組織に隠れて見つけにくいことがあります。
高濃度乳房/デンス・ブレストについて
②腫瘍の増殖速度
進行の速い腫瘍は、検診後に急速に大きくなり、症状として現れることがあります。進行が速い高悪性度の腫瘍であることが多く、ホルモン受容体陰性やHER2陽性などの特性を持つことが多いです。
乳がんのサブタイプと薬物治療
③検診精度の限界
マンモグラフィや超音波検査が行われても、小さな病変や非典型的な病変の場合、検査の時点では見つけられない場合があります。
検診の目的は、早期発見です。定期検診を受けることで乳がんにならないわけではありません。検査をしたタイミングによっては、はっきりした変化が捉えられないこともあります。
中間期乳がんと検診精度の関係
中間期乳がんの発生率を低下させるためには、まず、検診精度の向上が重要です。
乳房の状態に応じた検査の組み合わせ
高濃度乳房の場合、マンモグラフィに加えて超音波検査(エコー検査)やMRI検査を併用することで発見率が向上します。日本ではエコー検査がよく行われています。 エコー検査はマンモグラフィーでは見逃しやすい腫瘤を見つける能力に優れています。
検診間隔の短縮
リスクの高い患者では、1年ごとではなく半年ごとの検診を推奨する場合があります。
中間期乳がんを防ぐには?
中間期乳がんのリスクを低減するために、以下の対策が効果的とされています
個別化検診の実施
患者の年齢、家族歴、乳腺密度に基づき、適切な検査方法を選択することが重要です。
最新技術の導入
高精度の診断機器を導入し、見逃しの可能性を減らす。
患者教育
ブレストアウェアネスを習慣にし、乳房のセルフチェックで異常を早期に発見できるよう支援する。
ブレストアウェアネスを習慣に
中間期乳がんの最新の話題
J-START試験
日本で、J-START試験という超音波検査の乳がん検診での有用性を調べる臨床試験が行われました。マンモグラフィと超音波検査の併用によって、早期乳がんの発見率が向上し、中間期乳がんの発生が減少したことが報告されています。特に、40代の高濃度乳房の女性において顕著な効果が見られました。
欧州で行われた研究でも、マンモグラフィのみの検診に比べ、超音波検査や3Dマンモグラフィを追加することで中間期乳がんの検出率が大幅に改善されたとされています。
乳腺専門クリニックでの検診のメリット
欧米の研究では、専門施設での検診を受けた場合、中間期乳がんの発生率が一般的な施設よりも低いことが示されています。
中間期乳がんのリスクを軽減するために、専門クリニックでの検診を受けてみませんか?
最新の機器、経験豊富なスタッフによる精度の高い検査
クリニックでは、最新のマンモグラフィ 、エコー装置を導入しています。マンモグラフィーの被ばく量を最小限に抑えつつ、高画質な画像を提供するために、認定資格を持つ技師が撮影を行います。
エコー検査は技術者のスキルが結果に大きく影響します。クリニックでは認定資格を持ち、経験豊富な放射線技師または医師が検査を担当します。診断はもちろん乳腺専門医が行います。また、検診の精度を評価するために、定期的にデータを収集し、振り返っています。
患者個々のリスクに応じた検査方法を提案
クリニックでは、患者さん一人ひとりの状況に応じたきめ細かい対応が可能です。家族歴や既往歴に基づき、リスクに応じた検査プランを提案し、患者さんの不安や疑問に寄り添う患者中心のケアを目指しています。
また、問診を丁寧にするよう心がけています。どこか気になるところがある場合は、必ずスタッフにお伝えください。症状の有無などは、重要な情報です。
結果は当日に説明しますので、不安を抱える時間も短くなります。
定期的な検診スケジュールの案内や日ごろのセルフチェックの管理もお任せください。自分の乳房を気にかけていただくことが大切です。患者さんへの教育として、検査を受けた日は、一度ご自分でもセルフチェックを行っていただき、自分の普通の状態を知っておいてくださいね、とお伝えしています。
充実したフォローアップ体制
中間期乳がんは、患者さんが異常を感じた場合の迅速な対応が重要です。クリニックは予約制ではありますが、以前と変化があれば、次の定期検査を待たずに、早めに受診をしてください。当日も受診が可能です。
万が一、中間期乳がんが発生した場合でも、生検などの更なる精密検査はクリニックで行うことができ、治療が必要な場合など必要に応じ、適切な専門病院へ紹介いたします。
最後に
中間期乳がんは見逃しやすい一方で、適切な検診方法や専門的な対応によって予防・早期発見が可能です。
患者さんの不安を減らし、安心して検診を受けられるよう、これからも丁寧で精度の高い診療に努めます。