「ブレストアウェアネス(Breast Awareness)」とは、乳房を意識する生活習慣です。
自分の乳房の状態を日常的に気にかけ、理解し、乳房に異常がないかを確認する。
この習慣を取り入れることにより、乳がんなどの異常が早期に発見される可能性が高まるとされています。
“自己触診”から”ブレストアウェアネス”へ
従来使われていた「自己触診」という言葉は、異常を探したりしこりを見つけたりすることを指導するため、一般の方には難しく感じられ、継続しにくい考え方でした。
しこりを探そうと触りすぎて、かえって不安に感じる人もいます。
また、乳房の形や硬さは個人差があり、乳がんのさわり心地も様々。 専門医でも触診のみでは、判断に迷うことがあります。
そこで最近は、難しく考えずに、普段のご自身の乳房の状態を覚えておき、いつもと変わりはないか気にかけるようにしてもらうくらいで良いですよ、と指導するようになりました。そうすると、日常生活の中で気軽に取り組め、継続しやすいと思います。
ブレストアウェアネスは「自分の乳房の状態をまず知り、変化に気を付ける」習慣です。日常生活の中で気軽に取り組め、継続しやすいと思います。
乳がんの早期発見のために、ブレストアウェアネスを新たな習慣とし、具体的には、日ごろの生活の中で次の4つを行いましょう。
日頃から自分の乳房を意識し、その状態を知っておくことで、はじめて異常の出現に気が付くことができます。
入浴やシャワーの時、着替えの時に、自分の乳房を「見て、触って、感じて」みましょう。体を洗う際に、石鹸を付け撫で洗いするのもお勧めです。
定期検診を受けた日に、まずはやってみることをお勧めします。
普段の自分の乳房の状態を知ることで、初めて変化に気が付けます。
しこりを探そうとする必要はありません。「いつもと変わりがないかな」と、見て、触れて、感じてみましょう。
注意すべき変化~乳がんかもしれないサイン~は以下の通りです
異常を発見した場合は、速やかに専門医を受診することが重要です。
大丈夫だろうと自己判断することなく専門医の診察を受けましょう。
気になるところがある、いつもと違うと感じたら、「検診」「健康診断」を行う健診センターではなく、病院・クリニックで乳腺専門の医師の「診察」を受けてください。健康保険が適用され、 速やかに、必要な詳しい検査を受けることが出来ます。
乳がん検診(マンモグラフィ)で 100%乳がんが検出されるわけではありません。がんがある
のに検診で発見されない場合もあります。次の検診までの間に変化が出て、乳がんが分かる方もいらっしゃいます。定期的に検診を受けているという方も、変化がある場合は次の検診を待たずに、医師に相談してください。
自分で見ていただくのも大切ですが、あくまでも補助的な方法であり、定期的な乳がん検診を受けることが推奨されます。 乳がん検診の目的は、乳がんでなくなる女性を減らすことです。現在厚生労働省は、 40 歳以上の女性は、2 年に 1 回、定期的に乳がん検診(マンモグラフィ)を受けることを推奨しています。「異常あり」「要精密検査」の結果であれば、必ず精密検査を受けるようにしましょう。
乳がん検診を何歳から受けたらよいのか、どのような検査を受けたらよいのか、どのくらいの頻度で受けたらよいのか、といった質問をよく受けます。
実際のところ、年齢や、身内に乳がんが多いなどの遺伝性乳がんのリスク、乳房の状態によって、また、その方の価値観によって、その答えは一人一人違ってきます。どのように検査を選んだらよいか、気軽にご相談ください。
まとめ
ブレストアウェアネスは、乳がんの早期発見と治療において非常に重要な役割を果たします。ブレストアウェアネスを日常に取り入れることと医療機関での定期検診を組み合わせることで、乳がんを早期に発見し、健康を維持することができます。自分の体の変化を気にかけ、異常を早期に発見するための習慣を身につけましょう。