なぜ病気になると、こんなに不安になるの?|暮らしに寄り添う医療を目指して

診療をしていると、
「こんなことで悩むなんて、自分が弱いのでしょうか」
と話される患者さんがいらっしゃいます。
乳がん検診で要精密検査と言われたとき。
乳房のしこりや痛みが気になったとき。
あるいは健康診断で異常を指摘されたとき。
多くの方は、病気そのものへの不安だけでなく、言葉にできない大きな不安を抱えます。
世の中には、もっと深刻な病気と闘っている方もいます。
大きな災害や戦争など、想像を超える困難に直面している人たちもいます。
だからといって、自分の不安を小さなものだと思う必要はありません。
不安に大きいも小さいもないからです。
私は、不安を感じることは弱さではないと思っています。
病気になったとき、不安になるのは自然なことです。
大切な家族がいる。
大切な仕事がある。
大切な日常がある。
人は、自分にとって大切なものが揺らいだとき、不安を感じます。
それらを失うかもしれない。
これまで通りの生活ができなくなるかもしれない。
先のことが分からない。
そんな状況で心が揺れるのは、ごく当たり前の反応です。
むしろ不安があるのは、守りたいものがある証拠なのかもしれません。
なぜ病気になると気持ちが落ち込むのでしょうか
私が日々感じるのは、患者さんが不安を抱える理由は病気そのものだけではないということです。
特に、仕事や家事、子育て、親の介護など、多くの役割を担う女性ほど、その不安は大きくなりやすいように感じます。
病気やケガを経験したとき、人の心にはいくつかの共通した負担が生まれます。
役割を失うかもしれない不安
私たちは日々、さまざまな役割を持ちながら生活しています。
職場での役割。
母親としての役割。
妻としての役割。
家族を支える役割。
病気になると、
「今までのようにできなくなるかもしれない」
という不安が生まれます。
体調を崩したとき、「私が頑張らなければ」と思ってきた人ほど、不安は大きくなります。
実際には何も失っていなくても、自分の存在意義や自分らしさまで失ってしまうような気持ちになることがあります。
未来が見えない不安
人は「悪い結果」そのものよりも、「どうなるか分からない状態」に強いストレスを感じます。
・この症状はいつまで続くのだろう
・本当に良くなるのだろうか
・仕事は続けられるのだろうか
・これからどうなるのだろう
未来が分からないと、人は頭の中で最悪のシナリオを想像してしまいます。
まだ何も失っていないのに、
健康を失うかもしれない。
自由な生活を失うかもしれない。
今までの自分を失うかもしれない。
その不確実性が、人の心を疲れさせるのです。
コントロール感の喪失
病気になると、検査や治療のスケジュールが生活の中心になります。
すると、
「自分ではどうしようもない」
「医師の判断を待つしかない」
という感覚に陥ることがあります。
人は、自分で選択できないと感じるほどストレスを抱えやすくなります。
誰にも言えない孤独
「家族に心配をかけたくない」
「職場に迷惑をかけたくない」
「こんなことを相談していいのだろうか」
そう考えて一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
しかし不安は、一人で抱えるほど大きくなります。
情報不足
そして実は、最も不安を大きくする原因のひとつが情報不足です。
今の状態はどうなのか。
良くなる見込みはあるのか。
治療はどれくらい続くのか。
何に注意すればよいのか。
分からないことが多いほど、人は不安になります。
不安になると、多くの人がスマートフォンで情報を検索します。
しかしネット上にはネガティブな体験談や極端な情報も多く、不安を解消するための検索が、かえって不安を増幅させてしまうことがあります。
情報を集めているつもりが、不安を集めてしまっていることも少なくありません。
まずは不安を認めることから
不安になると、多くの人はその気持ちを消そうとします。
「考えすぎだ」
「もっと大変な人もいる」
「前向きにならなければ」
そう自分に言い聞かせる方も少なくありません。
しかし、不安は無理に消そうとするほど大きくなることがあります。
大切なのは、
「私は今、不安なんだな」
と自分の気持ちに気づき、認めてあげることです。
不安を感じるのは、それだけ守りたいものがあるから。
家族や仕事、日常や将来を大切に思っているからです。
不安があること自体は、決して悪いことではありません。
その気持ちを一人で抱え込まず、誰かと共有することが、次の一歩につながります。
当院が大切にしている3つのこと
では、その不安とどう向き合えばよいのでしょうか。
こうした不安に対して、当院では診断や治療だけではなく、患者さんの心にも寄り添う医療を大切にしています。
患者さんがこれからの人生を安心して歩めるよう支えることも、医療の大切な役割だと考えているからです。
① 見通しを持つ
不安を和らげるために最も大切なのは、「これから何が起こるのか」を知ることです。
現在の状況。
今後の検査や治療の流れ。
回復までのおおよその時間軸。
考えられるリスクや選択肢。
未来を100%予測することはできません。
しかし、患者さんと一緒に未来の地図を描くことで、不安は大きく軽減されます。
「今どこにいて、次にどこへ向かうのか」が分かるだけでも、人は安心することができます。
② 自分でできることを見つける
万が一、病気になっても、患者さん自身にできることはたくさんあります。
生活習慣を整えること。
体調の変化を記録すること。
疑問を質問すること。
治療について理解を深めること。
睡眠、食事、運動、休養、定期的な受診。
どんな状況でも、自分で選べることはあります。
私は、患者さんが受け身になるのではなく、自分自身の健康に主体的に関わることができるようサポートしたいと考えています。
「何もできない」ではなく、
「自分にもできることがある」
と思えることが安心感につながります。
そして、
「元通りになるかどうか」
だけを目標にするのではなく、
「きっとどうにかなる」
という感覚を取り戻していただきたいと思っています。
③ 新しい役割や生き方を見つける
病気は決して歓迎できる出来事ではありません。
しかし、その経験を通して生き方や価値観が変わる方もいらっしゃいます。
誰かに頼ることを覚えた。
自分を大切にする時間を持てるようになった。
家族との関係がより深くなった。
仕事との向き合い方が変わった。
人生には一つの役割しかないわけではありません。
病気をきっかけに、新しい自分らしさや新しい役割を見つけていくこともできます。
実際、診断直後は落ち込んでいた方が、
乳がんの啓発活動を始めたり、
新しいパートナーに出会ったり、
大好きなアーティストのコンサートに出かけたり、
これまで以上に自分らしい人生を歩まれている姿を拝見することがあります。
診察室でそうしたお話を伺うたびに、人の可能性の大きさを感じます。
情報提供も医療の一部
病気に関しては、専門家を通じた適切な情報提供と十分な対話が重要です。
患者さんが一人で検索を繰り返し、不安を大きくしてしまう前に、
「今どんな状態なのか」
「これからどうなりそうなのか」
「何を心配しなくてよいのか」
を丁寧にお伝えすることも医療の大切な役割だと考えています。
診断や治療だけでなく、「説明すること」も医療の一部なのです。
病気だけでなく、暮らしや人生にも寄り添いたい
健康とは、単に病気がないことだけではありません。
体の変化があっても、
未来への見通しがあり、
自分で選べることがあり、
支えてくれる人とのつながりがあれば、
人は前を向くことができます。
医療の価値は、診断や治療の技術だけで決まるものではありません。
どのように説明するか。
どのように関わるか。
どのように患者さんの不安に寄り添うか。
そうした一つひとつの積み重ねが、安心や信頼につながると私は考えています。
乳がん検診や乳房の症状で受診される方の中にも、同じような不安を抱えている方が少なくありません。
当院では病気を診るだけでなく、その先にある患者さんの暮らしや人生にも目を向けながら診療を行っています。
私たちは乳房の病気を診るだけでなく、不安を抱える人の人生にも寄り添えるクリニックでありたいと考えています。
これからもスタッフ一同、患者さんが安心して毎日を過ごせるよう、暮らしを支える医療を目指してまいります。
あいかブレストクリニックの特徴
- 乳がん検診から精密検査、術後フォローまで一貫対応
- 日本乳癌学会認定の女性乳腺専門医による診療
- 全スタッフ女性、落ち着いた院内環境
- 神戸・西宮・尼崎からも好アクセス(阪神芦屋駅徒歩3分)
- ネット予約・LINE予約で初診もスムーズ
ご予約
- Webまたは電話での予約制
- 検査内容は当日相談可能
📞 電話予約:0797-38-7171
LINEでも問い合わせできます
🌐 Web予約はこちら