2026年日本乳癌学会学術総会③ 知っていますか?乳がんを治すことと、乳房をきれいに残すことの両立を目指す「オンコプラスティックサージャリー」
先日参加した乳癌学会では、さまざまな話題が取り上げられていました。
その中で私が改めて興味深く感じたセッションの一つが、オンコプラスティックサージャリー(Oncoplastic Surgery)でした。
少し難しい言葉ですが、患者さんにぜひ知っていただきたい考え方です。
オンコプラスティックサージャリーとは?
簡単に言えば、
「乳がんを確実に切除すること」と「乳房の形をできるだけ美しく保つこと」を両立させる手術の考え方です。
「がんをしっかり取ること」は重要ですが、乳がんの治療成績が向上し、多くの患者さんが長く元気に過ごせるようになった現在では、
術後の生活の質(QOL)や整容性(見た目)も非常に大切な治療目標になっています。
温存手術でも変形することがあります
「乳房温存術なら形はほとんど変わらないですよね?」
外来でよくいただく質問です。
実際にはそうとは限りません。
腫瘍が大きかったり、
乳房に対して切除する範囲が広かったり、
病変の場所によっては、
「温存」手術でも
- へこみ
- 左右差
- 乳頭の位置の変化
などが起こることがあります。
形成外科の技術を取り入れる
オンコプラスティックサージャリーでは、
乳腺を移動したり、
周囲の脂肪を利用したり、
必要に応じて形成外科と協力したりしながら、
できるだけ自然な乳房の形を保つ工夫を行います。
「見た目のためだけの手術」
ではありません。
乳房全体のバランスを考えながら、安全ながん手術を行うための技術です。
乳房再建手術もオンコプラスティックサージャリーのひとつです。
乳房再建を考えている方へ|一般社団法人日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
学会で印象的だったこと
オンコプラスティックサージャリー、日本でも普及は進んでいますが、施設によって経験や体制には差があります。
今回、日本全国の乳腺外科・形成外科医が、この症例だったらどのような手術を勧めるか?という視点で、討論を行いました。
同じ症例でも医師によってアプローチはずいぶん違うことが分かり、また、手術の方法において正解はなく、患者さんの価値観がとても大事なことを改めて感じました。
大切なのは、
「整容性を高めることは、がん治療の質を下げることではない」
というメッセージです。
治療成績を維持したうえで、患者さんの満足度や生活の質を高めることが、これからの乳がん手術に求められているという考え方が、会場全体で共有されていました。
最近注目されている「脂肪注入」という選択肢
今回の学会では、形成外科の先生方から脂肪注入による乳房再建や変形修正についても提案がありました。
脂肪注入とは、お腹や太ももなどから採取した自分の脂肪を、乳房へ移植する方法です。
近年は技術の進歩により、乳房切除後の再建だけでなく、乳房温存術後のへこみや左右差の修正にも用いられるようになってきました。
一方で、すべての患者さんに適応できるわけではありません。
移植した脂肪の一部は吸収されるため、希望する大きさや形を得るには複数回の治療が必要になることもあります。また、しこり(脂肪壊死)や石灰化が生じることもあり、術後の画像診断に配慮が必要です。
さらに、現在の日本では乳房への脂肪注入は原則として保険適用外であり、多くは自費診療となります。
そのため、治療を希望される場合は、乳腺外科医と形成外科医が連携し、十分に相談したうえで適応を判断することが大切です。
患者さんに知っておいていただきたいこと
手術方法は、「温存」か「全摘」かだけではありません。
同じ温存手術でも、
どのように切除し、どのように乳房を整えるかで、術後の見た目は変わることがあります。
無理に温存手術を試みるよりも、全摘をして再建手術をした方が、仕上がりとして満足がいく場合もあります。
もちろん、すべての患者さんがオンコプラスティックサージャリーの対象になるわけではありません。
腫瘍の大きさや場所、乳房の大きさ、放射線治療の予定などを総合的に考えて判断します。
だからこそ、手術前に「どのような仕上がりが予想されるのか」「ほかの選択肢はあるのか」を主治医とよく相談することが大切です。
最後に
乳がんの手術で最も大切なのは、言うまでもなくがんを安全かつ確実に切除することです。
しかし、それと同時に、術後もその人らしく生活できることも、現代の乳がん医療ではとても重要になっています。
今回の学会を通じて改めて感じたのは、オンコプラスティックサージャリーは、治療と生活の質の両方を大切にする現代の乳がん治療の柱の一つであるということです。
クリニックを開業してから自分自身が手術をすることはなくなりましたが、術式を悩まれる患者様の相談にのることはできます。ぜひ気軽にご相談ください。
あいかブレストクリニックの特徴
- 乳がん検診から精密検査、術後フォローまで一貫対応
- 日本乳癌学会認定の女性乳腺専門医による診療
- 全スタッフ女性、落ち着いた院内環境
- 神戸・西宮・尼崎からも好アクセス(阪神芦屋駅徒歩3分)
- ネット予約・LINE予約で初診もスムーズ
ご予約・お問い合わせ
- Webまたは電話での予約制
- 検査内容は当日相談可能
📞 電話予約:0797-38-7171
LINEでも問い合わせできます
🌐 Web予約はこちら