2025年を迎えて
2025年1月14日、あいかブレストクリニックは5周年を迎えます。
皆様のサポートに感謝申し上げます。
2024年は、能登半島地震や世界各地での戦争・紛争など、試練の多い年でした。一方で、医療や地域における支援活動を続ける中で、患者様や地域の方々とのつながりの大切さを改めて感じた1年でもありました。
こうした中で、医療の現場でも変化が求められ、特に少子高齢化社会における医療資源の限界と医療費の増大は、大きなテーマとなっています。患者さんにも、医療の効率や、医療費の負担について考えていただく方向になってきています。病診連携や、ジェネリック医薬品、予防医療を進めるためには、医療サービスを受ける側の意識の変容が欠かせません。
最近は、マイナ保険証やオンライン診療などの医療DXも進み、 AIが画像診断などに応用されてきています。将来、医師の仕事はAIにとって代わられるのでしょうか?このような医療技術は、医療者の仕事の負担を軽くはしてくれるけれども、患者さんの心を軽くするのは、医療者の良い心、good heartだと私は考えています。 どれほど技術が進歩しても、人の心に寄り添い、不安を取り除くのは、医療従事者の「思いやりの心」であると改めて感じています。
2024年を振り返って
① 乳がん画像診断の精度向上
2023年に「日本乳癌学会関連施設」となり、2024年も引き続き地域で乳腺専門クリニックとしての役割を果たしてきました。2025年からは、「日本乳癌学会認定施設」に認定されました。今後も、地域における乳がん診療の信頼性をさらに高めてまいります。
また、マンモグラフィや超音波検査では、専門資格を持つ放射線技師や医師が丁寧に対応し、診断の精度向上に努めています。 乳がん精密検査機関の乳房画像診断の医療の質の指標(QI)であるPPV3を算出し、精度管理を行っています。
検診から治療まで、一貫して相談できる安心感」を大切に、来院される方の不安を少しでも軽くできるよう努めています。 これからも丁寧な検査、正確な診断を行っていきます。
検診・診断カテゴリーとPPV3 | 検診・画像診断 | 乳癌診療ガイドライン2022年版
②日曜検診デー
忙しい方にも受診の機会を提供するため、日曜検診デーを開催しました。これからも、皆様のライフスタイルに寄り添った診療体制を整えていきます。
院長自身、子育て中のため、度々診療時間の変更やお休みがあるかと思います。温かく見守っていただければと思います。
③地域での講演活動
地域の女性に向けた乳がん予防やケアに関するセミナーを開催しました。今後も最新の知識を広める活動を続け、地域の健康意識向上に貢献してまいります。
2024年は、住岡母乳と育児相談所、 NPO法人 兵庫県腎友会 、メルカードむこがわ、“いのち”を考える会 ー聴覚障害者の医療を考える会、にて、セミナーを行いました。
セミナーの様子など詳しくはこちらのリンクをご覧ください。
https://aikabreastclinic.com/sessions/
講師の依頼はaikabreast@gmail.comまでお気軽にお問い合わせ下さい。
④サンデー・ブランチの開催
がん経験者や地域の女性、医療従事者を交え、日常の悩みや健康について自由に語り合う場を設けました。こうした場が、患者様やそのご家族の心の支えとなれば幸いです。
日曜日午前に不定期に開催しています。今年も開催を予定しています。予約は不要、参加無料です。みなさんの参加をお待ちしています。
イベントの情報はあいかブレストクリニック 公式Instagramから発信しています。
⑤若年層への啓発活動
AYA世代(15~39歳)の乳がん患者様への啓発活動に注力し、乳がん予防と早期発見の大切さを伝えました。当院は若い世代の方の来院も多く、この世代への啓発はとても重要と考えています。
毎年3月に行われる、AYA世代のがんの啓発週間に合わせ、イベントを行いました。検診の大切さや乳がん治療後のサポートについて一緒に考える機会をつくりました。若い方たちに「乳がんの検診って私にも関係あるんだ」と感じていただけたことが嬉しい出来事でした。今年も、AYA week 2025 に合わせ、啓発イベントを予定しております。
⑥ 女性のウェルネスと予防医療へのアプローチ
乳がん予防の一環として、管理栄養士と一緒に健康づくりのお手伝いを始めました。乳がんの治療中の方、閉経前後の女性や産後の体調変化に悩む方に寄り添い、健康的な生活をサポートしていきます。
乳がんの専門医×管理栄養士監修~nourish your body~女性のための栄養カウンセリング
また、子宮頸がんや帯状疱疹などの新たなワクチン接種を始めました。女性に多いワクチン接種により予防できる病気の啓発 、プラセンタ療法などによる更年期の対策、気軽にご相談ください。
2025年、クリニックのこれから
①病診連携の強化
病院とクリニックが役割を分担する「病診連携」をさらに推進し、患者様にとって安心できる医療体制を整えます。他院で治療を終えられた方や良性疾患のフォローアップも積極的に行い、地域全体の乳がん診療の向上を目指します。
2024年12月の研究会では「乳腺クリニックから見た病診連携の在り方」をテーマに発表し、多くの医療従事者の皆様と意見交換を行う貴重な機会となりました。病診連携を進めることは、病院の勤務医の先生の負担軽減にもつながります。 このような活動を通じて、患者様に安心していただける医療体制の構築に寄与できればと考えています。
②医療分野で働く女性の支援
2024年より、兵庫県医師会男女共同参画推進委員会の委員を務めています。 医療現場で働く方々が働きやすい環境を整えるため、研修や情報提供、働き方改革の提案を行っています。
医師会の委員の活動を通して、地域の医療者のキャリアを支援できればと考えています。
③患者様とのつながりを大切に
新しい医療技術を積極的に導入しながらも、患者様一人ひとりに寄り添い、心のケアを忘れない医療を提供してまいります。2025年も、地域のセミナーやイベント、SNSなどを通じて、乳がんだけでなく女性全般の健康をサポートする情報を発信し、地域に根差した活動を展開します。
④日々の診療を未来に還元する
日々の診療から得られた問題点について考察し、乳がん診療のさらなる発展に役立てられるよう、学会発表を行っていきます。精度管理、検査に伴う不安への対応、乳がん患者さんの長期的QOLなどは、クリニックを開業したときから力を入れていますので、何かしら患者さんへ還元できるようにしていきたいです。
最後に…
私たちは、患者様の人生のパートナーとして、以下の3つを理念として大切にしています。
- 乳腺に特化したクリニックとして、基幹病院と連携し、予防、検診から診断、治療まで一貫して責任を担う
- 乳がん患者さんの人生のパートナーとして、切れ目のない支援を行う
- 地域の女性の健康・ウェルネスに寄与する
2025年も、あいかブレストクリニックは「乳がんも、日々の不安も、一緒に向き合える場所」となるべく、みなさんの「ちょっと気になること」を気軽に相談できるようなクリニックを目指してまいります。
引き続き、患者さんとのコミュニケーションや検査の技術向上に力を入れ、チームワークを大切にしていきます。
「ここに来るとほっとする」「なんでも話せる」と言っていただけることが、私たちの一番の励みです。
美しく、健やかに、笑顔がたくさんの一年になりますように!
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
あいかブレストクリニック 院長
松之木アカヴィア愛香