LGBTQと乳がん
プライド月間~LGBTQ+について知る
LGBTQは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Transgender(トランスジェンダLGBTQとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング)の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつとしても使われることがあります。日本におけるLGBTQの割合は、データにバラつきがありますが、約3%〜10%と言われています。
LGBTQとは? | 特定非営利活動法人東京レインボープライド (tokyorainbowpride.org)
毎年6月はPRIDE MONTH(プライド月間)と言われ、LGBTQコミュニティの権利と尊厳を認め、支持し、連帯することの重要性を確認する月間です。
LGBTQと乳がん
LGBTQの人々は非LGBTQ人口と比べ、がんがより進行した段階で診断されることが多いという研究結果がでています。
LGBTQの人々は、差別や偏見により、医療へのアクセスが制限されることがあったり、メンタルヘルスの問題が高い割合で見られることがあります。このような様々な障壁が、LGBTQの方々のがん診療に影響を与えているかもしれません。
まずは、私たち一人一人がLGBTQコミュニティの理解と支援を深めることが求められます。
そして、乳がん診療を提供する場合は、多様なLGBTQコミュニティに対して、一人一人の乳がんに関するリスクやケアのニーズについて知ったうえで診療を行うことが大切です。
以下に、LGBTQと乳がんに関して注意すべき点をまとめました。
1. ホルモン療法による乳がんリスク
トランスジェンダーの方々がホルモン療法を受けている場合、乳がんのリスクはどうなるのでしょうか?
一般的に、乳がんのリスクは、女性であること、年齢が上がるほど、また家系内に乳がんの多い方やBRCA遺伝子変異のある方でリスクが高まります。それ以外に、食事や生活習慣、飲酒や喫煙などの影響が複雑に絡み合っています。
このような一人一人の乳がんリスクを評価したうえで、乳がんの検診を受けることが勧められています。これは、トランスジェンダーの方も同様です。
女性から男性へのトランスジェンダーの方(FTM)がテストステロン療法を受けている場合、乳腺組織は縮小しますが残存しています。乳房切除を受けていないのであれば、乳がんリスクはゼロではありません。
一方、男性から女性へのトランスジェンダーの方(MTF)がエストロゲン療法を受けている場合、一般の男性よりも、乳がんのリスクがあがると言われています。MTFに対する女性ホルモン治療は、1970年代から始まりました。 乳がんのリスクは、ホルモン療法の期間と密接に関連しています。 短期間の女性ホルモン治療は比較的安全とされますが、長期での安全性は、現段階ではよくわかっていません。
アメリカの学会では、5年以上女性ホルモン療法を受けている40歳以上のMTFの方に対し、乳がん検診を勧めています。その他の欧米諸国でも、ホルモン療法を5年以上受けた40歳から50歳以上のMTFに対してマンモグラフィー検診を推奨しています。詳しくはこちらのリンクをご覧ください。
- 受診の際は、ホルモン療法の種類と期間について教えてください。
- FTMの方も、乳頭乳輪を含む乳腺組織がある場合は、定期的な乳がん検診をお勧めします。
- MTFで女性ホルモンの投与を受けている方も場合により検査が勧められますので、一度ご相談ください。
2. レズビアンおよびバイセクシュアルの女性のリスク
研究によれば、レズビアンおよびバイセクシュアルの女性は、乳がんリスクが高い可能性があります。これは、これらの女性が子供を持つ率が低かったり、飲酒や喫煙の習慣のある方が多いこと、健康診断を受診する頻度が低いことが関与しているとされています。
- 定期的な健康診断と乳がん検診を受けましょう。
- ブレストアウェアネスを習慣にしましょう
3. 乳がん検診の重要性
LGBTQコミュニティの方々は、医療機関での差別や無理解を恐れて健康診断を避けることがあるりますが、乳がんは早期発見・治療により治すことが出来ます。信頼できる医療機関を見つけ、自分の健康を守りましょう。
- 受け入れ態勢の整った医療機関を選ぶこと。
- 乳がんの初期症状に注意し、早期発見・早期治療を心がけること。>乳がんについて
4. 性別適合手術後のケア
性別適合手術を受けた方は、乳がんリスクの評価とケアの方法が異なる場合があります。特に、乳腺を完全に除去していない場合は、引き続き乳がんの検診が必要です。
- 手術後の乳がんリスクについて専門医と相談すること。乳頭や乳輪を残していると、そこからも乳がんは発生します。
- 必要な場合は、定期検査の計画を立てましょう
5. メンタルヘルスのサポート
乳がんの診断は、どのような背景を持つ方にとっても心理的に大きなストレスとなりますが、LGBTQコミュニティの方々はさらに複雑な感情や課題に直面することがあります。専門的なメンタルヘルスのサポートが必要です。
- 心理カウンセリングやサポートグループの利用を考えてみましょう。
- 医療チームにメンタルヘルスのサポートを求めましょう。
まとめ
LGBTQコミュニティの方々に対する乳がんケアには、きめ細やかな配慮が必要となるでしょう。ホルモン療法、性別適合手術、メンタルヘルスのサポートなど、多岐にわたるニーズに対応するためには、様々な分野の専門医・メディカルスタッフとの密な連携が欠かせません。
諸外国では近年、LGBTQや人種などのマイノリティが経験している医療分野での様々な格差の解消が大きな課題となっています。今後はマイノリティのニーズに目を向け、当事者への健康教育、多様なニーズに対応できる医療ケア体制の整備などが求められます。
私たちのクリニックでは、 乳がんの早期発見・治療のために、全ての患者さんが安心して受診できる環境を提供し、包括的なケアを実施しています。
クリニックでは、検査のために着替えることがありますが、着替えのスペースは個室になっています。大部分の患者さんは女性ですが、ほかの患者さんと重ならないようにすることも可能ですので、予約の際にお伝えください。
お胸に関する質問や不安があれば、遠慮なくご相談ください。
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