乳がん検診で要精密検査となったら⑥エコー検査の見方
乳がん検診で行われる超音波(エコー)検査。
「エコー画像ってどうやってできているの?」
「なぜ白く見えたり黒く見えたりするの?」
まずは、エコー検査の仕組みについて、解説します。
エコー検査の仕組み
乳がんは乳房の中の「乳腺」に発生します。超音波検査は、お腹の中を観察する時にも使いますが、乳腺は浅いところにあるので、周波数が異なる超音波で観察しています。
乳房の中には、乳腺・脂肪・線維組織など様々な組織が存在しています。
エコー検査では、超音波を乳房に当て、その跳ね返り方(反射の強さ)を画像に変換して観察します。
① 超音波の跳ね返りとエコー画像の白黒
- 超音波が強く跳ね返る(反射が強い) → 白く見える(専門用語で「高エコー」と呼んでいます)
- 超音波があまり跳ね返らない(吸収される) → 黒く見える(低エコー)
組織ごとに超音波の跳ね返り方が違うため、白黒のコントラストとして映し出されるのです。
② 乳房の組織ごとにエコーの見え方が違う!
エコー画像の見え方 | 特徴 | |
---|---|---|
脂肪 | やや黒っぽい(低エコー) | 乳房の中で比較的均一に分布 |
乳腺 | 白く見える(高エコー) | 若い人ほど発達し、年齢とともに脂肪が増える |
線維組織 | 白く見える(高エコー) | 乳腺を支える組織 |
嚢胞(液体) | 真っ黒(無エコー) | 中が液体なので超音波を通過し、跳ね返らない |
腫瘤(しこり) | 低エコー~高エコー | 良性・悪性で見え方が異なる |
例えば、脂肪は黒っぽく、乳腺や線維組織は白く映るため、白黒のまだら模様や横じま模様になるのが正常な乳房のエコー画像の特徴です。
Instagramの投稿も参考に!
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異常を見つけるポイント
エコー検査では、リアルタイムで乳房の中の様子がモニターに映し出されます。 検査者は、正常な乳房の模様(パターン)が乱れている部分を探します。
どんな変化をチェックするの?
病変を見つけたときはその形や中の構造などを評価します。周囲との境界、サイズも重要です。
最近は機械が良くなって、5㎜以下の病変も見つかるようになりました。がんも小さなうちは、良性とよく似た形をしていることがあります。一般的には下記のとおりです。
- 低エコー(黒っぽい)でギザギザして境界が不明瞭なしこり → 悪性の可能性がある腫瘤
- 形がきれいで境界がはっきりしている → 良性の可能性が高い
- 真っ黒(無エコー)で内部に光の反射がない → 液体がたまった嚢胞(良性)
検査中は、機械の条件を変えながら細かく確認していきます。スキャンしながら、静止画で撮影して記録に残します。
検査中は、カチカチボタンを押す音が気になると思いますが、実は撮影しながら、多くの情報を記録に残しているのです。
さらに詳しく評価する方法は?
一般的な健康診断の施設ではあまり行われませんが、精密検査の場合は、より正確に診断するために、エラストグラフィーやドプラ検査も活用されます。
エラストグラフィー(硬さの評価)
乳がんは周囲の正常な組織へ広がっていくときに周囲を巻き込み、がんそのものと、周辺まで硬くなることがあります。エラストグラフィという機能を使い、硬さを色で評価できます。
- 柔らかい腫瘤 → 良性の可能性が高い
- 硬い腫瘤 → 悪性の可能性がある
ドプラ検査(血流の評価)
乳がんは、大きくなるために酸素や栄養を必要とし、血管をたくさん作ります。
良性の腫瘍も、周囲に血管はありますが、血管の位置、血流(血液の流れ)の見え方が異なることが多いです。
エコー検査では、血流の有無をリアルタイムで評価することができます。
- 血流が少ない腫瘤、血管が腫瘤の端の方に見られる → 良性の可能性が高い
- 血流が豊富な腫瘤、血管が腫瘤の中に入り込んでいく → 悪性の可能性がある
当院では、診断の精度を高めるために、必要に応じて血流や硬さを評価しています。
エコー検査の検査時間は10分から20分くらい。体への負担は少なく、年齢を問わず受けて頂きたい検査です。ぜひ、自分の乳房の中を見てみましょう!