乳がんと運動・食事の関係
なぜ乳がんが増えている?
老いも若きも、乳がんの患者数は年々増加しています。
乳がんの7〜8割が女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。そのため、エストロゲンの分泌が高くなる月経の回数が多いほど、乳がんになりやすくなります。
妊娠や授乳は乳がんのリスクを減らすとされていますが、 現代では、女性の社会進出やライフスタイルが変わり、出産する回数が減り、出産年齢も上がっています。小さなころから、栄養状態も良いので、初潮の年齢も早くなってきています。
生活習慣の変化は、糖尿病の患者数の増加、運動量の低さ、アルコール消費量の増加にも表れます。これらも、乳がん発症のリスクです。
また、一般的にがんは年齢を重ねるほどリスクが増えるので、女性の寿命が延びていることも関係しているかもしれません。
閉経後も乳がんになるのはなぜ?
以前、日本女性で乳がんが最も多いのは40代後半でしたが、今は60 代以降の割合が増えています。(下図参照)
閉経前は卵巣で作られているエストロゲンは、閉経後は脂肪細胞で作られます。閉経後で体脂肪が多いと、エストロゲン濃度が高くなり乳がん発症リスクが高くなります。
乳がんは若い人の病気、ではないのです。
適度な運動習慣が大切!
閉経後の体重増加は乳がんの発症リスクとなりますので、要注意です!逆に、運動はリスクを下げます。
肥満は、乳がん治療後の再発とも関連しています。乳がんの治療後に、適度な運動を続けて体重をコントロールできていると、再発リスクが下がります。
閉経後の女性では,定期的な軽い運動(少し汗ばむぐらいの歩行や軽いジョギングなどを週に2時間半以上,または,ランニングを週に75分以上)を心がけるとよいでしょう。
閉経後は、代謝が落ち脂肪がつきやすくなります。体重が増えると、ひざに負担がかかって痛みが出る方もいます。運動量が減ると、筋肉が落ちて転びやすくなったり、体力も落ちてしまいます。 運動をすると自律神経が整い、メンタルヘルスも改善します。女性の方はもともと家事などで体はよく動かしていますが、ジムに通ったり、ウオーキングをしたり、自分が楽しめる活動を加えてみませんか?
食生活を見直してみましょう
乳がんの90~95%は食生活、出産、授乳などの環境因子が影響すると言われています。
食生活を見直すことは、今すぐできることかもしれません。
閉経の前後を問わずアルコール飲料が乳がん発症リスクを高めるのは確実で、摂取量が増加するほどリスクも高くなるとされています。 アルコールは、ほどよい量で楽しみましょう。晩酌が好きな方は、休肝日を作ったり、飲む量を減らすことから始めてみませんか?本当にその一杯はあなたにとって必要でしょうか?
バランスの取れた食生活は乳がんだけでなく、その他のがんや糖尿病などの生活習慣病のリスクを減らすことが出来ます。
今後クリニックでは、栄養についても詳しい情報をお伝えしていきたいと考えています。