国際女性デーに寄せて
毎年3月8日は、 国際女性デー(International Women’s Day)。
1904年3月8日のアメリカのニューヨークで婦人参政権を求めたデモが起源となり、1975年の国際婦人年において、国連が3月8日を「国際女性デー(International Women’s Day)」と制定しました。
国や民族、言語、文化、経済、政治の壁に関係なく、女性がこれまで達成してきた成果を認識するとともに、女性たちの権利やジェンダー平等を広く呼びかけていく日として、毎年、世界中で様々なイベントが行われています。
2023年3月8日の国際女性デーのテーマは、「Invest in women: Accelerate progress(女性に投資を。さらに進展させよう。)」。
ジェンダー平等を達成するための重要な課題のひとつに大幅な資金不足があります。初の「国際女性デー」から50年近くが経つ今も、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、途上国、先進国を問わず、取り組み続けなければならない課題です。
詳細は、UN Women(国連女性機関)日本事務所ホームページ へ。
私が出来ることは?
私は、 医学部に進学していなかったら、全く違う仕事をしていたかもしれません。経済的援助や奨学金がなければ、大学への進学や研究留学といった経験はできませんでした。「資金」はとても重要なことです。
外科医としていろいろな手術を経験したいと思っていた私が、本格的に乳がんの専門医を目指したのは、ある先生に、「まずはやると決めてみたらよいどうか。専門を選択することでかえって可能性が広がることもある」と言われたことがきっかけでした。その時の私は気づいていませんでしたが、乳がんの診療は、全身の病気を理解していなければわからないことも多いし、専門医こそほかの分野の知識が必要であると、今ならわかります。今、専門性をいかして、患者さんの人生に関わり、世代を超えて地域の方々の生活にかかわれることは、とても光栄なことです。
パートナーと出会い、子供を持つという選択は、医師になったことと同じくらい、人生で一番大きな選択でした。パートナーや子供は、私が社会とつながるきっかけを作ってくれ、人生を豊かにしてくれました。
これまでの選択の積み重ねが今の私を作っています。人生の折り返し地点に来た今、自分が受け取ったサポートを地域の女性の方へ還元していきたいと考えています。
いつでも相談できる安心感を
時代が変化し女性の生き方が多様になっていても、家庭や仕事の状況、経済的事情、社会とのかかわりなどで、弱い立場にいる女性、生きづらさを感じている女性は多いです。
これくらいのことで病院を受診しても良いのか?、病気になって周囲に申し訳ない、年齢も年齢なのでもう治療は必要ない、…このように感じているかたは、今も多くいらっしゃいます。
乳がんは、早期に発見し適切な治療を受けることで、治すことが出来る病気です。そのためには、多くの女性が乳がんのことを知り、自分の身体のことを大切にすること。診察や検診を受診しやすい環境を作ることが大切です。
クリニックでは専門性を生かした正確な診断や適切な治療だけではなく、声を上げづらい方のために、不安や辛い気持ちをいつでも相談できる空間を提供したいと考えています。
乳がんの診断は、女性の人生を大きく変える出来事です。患者さんに信頼していただけるような医師でありたいと思いながら、日々研鑽し診療にあたっています。まだまだ未熟なところは多いのですが、乳腺のことだけでなく、その他の不調や日常のことなど、なんでも気軽に相談していただきたいと思います。皆様のご来院をお待ちしています。