乳がんにそなえるには、どうしたらいですか?
日本人女性の9人に1人が生涯のうちに乳がんと診断されると言われている今、
“備える”ことは特別なことではなく、日常の中でできる大切な準備です。
たとえば、検診を受けること。
たとえば、もしものときに正しい情報を見極める力をもつこと。
そして、自分だけで抱え込まず、頼れる人や場所を知っておくこともまた、大きな備えになります。
あなた自身や、あなたの大切な人を守るために。
今、できる準備を一緒にはじめてみませんか?
その1.乳がんについて知ろう
あなたの知識・常識はもう古いのかも?ぜひ、アップデートしておきましょう。以下のリンクで、乳がんの症状や、診断・治療、予防のための習慣などについて説明しています。
▷ 乳がんについて
院長が講演会を行うこともできます。
▷ 【講演会依頼】乳がんの専門医の知識と経験を共有しませんか?
その2.がんに対する世の中の動きを知っておこう
今、がん医療の考え方は大きく変わってきています。医療者がすべてを決める時代から、「患者さんを中心とした医療」へ。患者さん自身が治療の選択に参加し、納得したうえで前に進むスタイルが広がっています。
たとえば、治療に伴うメリットとデメリットを医療者と一緒に確認しながら、治療方針を決めていく。診療ガイドラインの作成や新しい治療の臨床試験にも、患者さんの視点が取り入れられるようになってきました。また、学会では、ホームページに一般の方向けの情報が載せられたり、がんの啓発を行うイベントを行っています。中学校・高校では、がん教育などを通して、年齢を問わず、市民ががんの知識を学ぶ機会も増えています。
▷ 「がん教育」とは?【知っておきたい教育用語】|みんなの教育技術
▷ がん教育 文部科学省選定 がん教育アニメ教材「よくわかる!がんの授業」
その3.サポートを上手に活用しよう
がんは、体だけでなく心にも、そして生活にも影響を与える病気です。そんなとき、頼れるのが「サポート」の存在です。 まだ必要と感じていなくても、「どこに相談すればいいか」を知っておくことは、大きな安心につながります。
ピアサポートとは?〜がん経験者が支える力〜
がんの診断や治療は、患者さんご本人だけでなく、ご家族にとっても大きな試練です。そんなとき、同じ経験をした人と話すことで、気持ちが軽くなり、不安が和らぐことがあります。これが「ピアサポート」の力です。
ピアサポートでは、たとえば次のような相談があるそうです:
- 術後の下着やウィッグの選び方
- 治療や副作用への不安の共有
- 子育てや仕事と治療の両立
- 家族とのコミュニケーションの悩み
- 治療後の“気持ち”への共感
同じ経験をしたからこそ分かり合えることがあり、専門家とは違う「心の支え」になることがあります。
ピアサポートを受けられる場所:
- がん相談支援センター(病院内)
- 患者会や地域のサポートグループ
- かかりつけクリニック
- オンラインコミュニティ(SNSや専門サイトなど)
当クリニックでは、ピアサポーターや経験者、医療者や地域の女性が集まり、語り合う場を設けています。治療や暮らしのこと、どんなことでも安心して話せる空間を大切にしています。日曜日に不定期に開催しています。開催日時については、Instagramで告知しています ▷@aikabreastclinic
がん相談支援センターとは?
もう一つの心強い味方が「がん相談支援センター」です。がん診療連携拠点病院などに設置された、公的な無料相談窓口で、誰でも利用できます。
こちらで検索できます ▷ 相談支援センターを探す : がん情報サービス相談先・病院を探す
どんなことを相談できる?
- 治療や副作用について
- 医療費や仕事、生活の不安
- セカンドオピニオンについて
- 患者会、ピアサポートの紹介など
特徴:
- 看護師やソーシャルワーカーなど専門職が対応
- 匿名・無料で相談可能
- 電話相談できるところもあり
- ご家族、他院に通院している患者さんでもOK
よくあるご相談内容:
①「これからどんな検査を受けるのだろう?」「ほかに治療の選択肢はないの?」「これまで通りの生活ができる?」
がんの疑いがあるとき、治療を選択するとき、治療中、治療が落ち着いてからも、、、不安や疑問は尽きることはないと思いますが、その時の状況に応じて、必要な情報を提供してくれます。
② 「質問をしたいけれど忙しそう」「セカンドオピニオンに行きたいというと怒られるのでは?」「担当医とコミュニケーションが取れない」
担当医や看護師などの医療スタッフとのかかわり方で悩むこともあるかもしれません。
医療を受けるのはあなた自身。自身が納得して医療を受けられるように支援してくれます。 相談内容が担当医やほかの方に漏れてしまうということはないのでご安心ください。
③ 「治療のために家族に迷惑をかけるのでは?」「子供に病気のことをどう伝えたら?」「本人にどう接したらいいのだろう?」
がんの診断で影響を受けるのは、ご家族も同様です。ご家族も同様にサポートを受けられます。
④ 「治療にかかる費用はどのくらい?」「仕事は続けられる?」
現役世代の方にとっては、仕事との両立も気になることでしょう。がんと診断されても、すぐに仕事を辞めないで!仕事を続けるための方法にはどのようなものがあるか、相談してみましょう。また、治療に伴う経済的な不安は誰もが感じるものです。利用できる公的な助成や支援制度を教えてもらいましょう。
⑤「どうして病気になってしまったのだろう」「とにかく不安で」
何を相談したらいいか分からない方も、とにかく今のお気持ちを話しに来るだけでも良いそうです。あなたが必要としていること、困っていることが見えてくるかもしれません。
人を頼るのは苦手だなという方も、難しく考えずに気軽に相談してみてください。自分のために勇気を出して!人と話すことで、解決の糸口が見つかったり、頭の中の整理がつくこともあります。
その4.『ヘルス・リテラシー』をみがいておこう
「ヘルス・リテラシー」とは、健康や医療に関する情報を入手・理解・評価・活用する力のことです。もし乳がんと診断されたとき、
「医師に全部おまかせします」
「ネットの情報に振り回されてしまう」
という状態では、不安だけがふくらんでしまうかもしれません。
大切なのは、自分自身の健康に責任を持ち、正しい情報を選び、医療者としっかりコミュニケーションをとりながら治療方針を決めていく力です。その力は、突然身につくものではなく、日ごろから意識して身につけていくことができます。
がんは一人で立ち向かう必要はありません。ピアサポートや相談支援センターなど、さまざまな支えがあります。「もしものとき」の準備として、今からできることを始めてみませんか?
そして、困ったときには、どうぞ当院のような地域の乳腺クリニックにもご相談ください。あなたに合ったサポートや情報をご案内します。