乳腺の生検をすると、どのくらいの割合でがんが見つかる?
生検をすることになった患者さんから、「がんの可能性が高いのでしょうか?」と、質問を受けることがあります。
「生検」と聞くと、「医師が、がんをかなり疑っているのでは?」と不安になる方も少なくありません。
でも、実際には、生検を受けた方のすべてが、がんと診断されるわけではありません。
生検をしてみて「良性でした」とわかる方もたくさんいらっしゃいます。
生検をした人の、どのくらいが「がん」なの?
乳腺の針生検(CNB)については、報告によって違いがありますが、生検を受けた方のうち、がんと診断される割合はおおむね3~4割程度とされることがあります。
ただし、この数字はあくまで一つの目安です。
実は、「生検を受けた人の何%ががんだったか」という数字は、どのような患者さんを診ている施設なのか、そしてどのような方法で生検を行っているのかによっても変わります。
「生検」にも、いくつかの方法があります
乳腺の病変を調べる方法は一つではありません。
代表的なものに、
- 細胞診(穿刺吸引細胞診:FNAC)
- 針生検(CNB)
- 吸引式組織生検(VAB)
などがあります。
それぞれ採取するものや検査の目的が異なります。
細胞診
細い針を病変に刺して、細胞を採取して調べる検査です。
比較的身体への負担が小さく、超音波で見えるしこりなどに対して行われます。
ただし、採取できるのは「細胞」なので、病変全体の構造まではわかりません。
そのため、「良性らしい」「悪性が疑わしい」という判断はできても、病変によっては細胞診だけでは十分に診断できないことがあります。
CNB(コア針生検)
少し太い針を使って、組織の一部を採取する検査です。
細胞だけでなく、組織の構造を確認できるため、乳がんの確定診断に広く用いられています。
超音波で見えるしこりなどに対して行うことが多い検査です。
VAB(吸引式組織生検)
吸引を利用して、CNBよりも多くの組織を採取することができる検査です。
マンモグラフィで見つかる微細な石灰化、超音波で見える小さなしこりや広がりがはっきりしない病変の診断に用いられることがあります。
これらの病変は、VABで十分な量の組織を採取することで、より正確に診断できる場合があります。また、薬物治療を始める前に、がんの組織を十分の量を採取しておきたいときにも行います。
どの方法を選ぶかによっても、「がんである割合」は変わります
例えば、
「生検をした人の40%が乳がんだった」
という数字があったとしても、
「どの検査を受けた人なのか?」
によって意味が変わります。
細胞診を行う人と、CNBを行う人、VABを行う人では、そもそも検査を受けることになった病変の特徴が違います。
例えば、
「超音波でしこりが見つかったので、組織を調べる」
場合と、
「マンモグラフィで特徴的な石灰化が見つかったので、VABで組織を調べる」
場合では、検査に至るまでの経緯も、病変の性質も異なります。
そのため、検査方法によって悪性と診断される割合が変わるのは自然なことです。
医療機関によっても違います
さらに、医療機関によって、診ている患者さんの集団も違います。
大学病院には、
- 他の医療機関から紹介された方
- 乳がんが強く疑われている方
- すでに乳がんと診断され、治療につなげるための検査を受ける方
- 比較的診断が難しい病変の方
などが集まりやすくなります。
一方、地域の乳腺クリニックでは、
- 健診で要精密検査となった方
- しこりや乳房の痛みなどの症状で初めて受診する方
- 良性の可能性が高い病変の方
- 経過観察にするか生検にするか判断が必要な方
など、さまざまな方が受診します。
同じように、地方の基幹病院やがん専門病院でも、紹介されてくる患者さんの背景は異なります。
つまり、医療機関ごとに
「生検をした人のうち何%が乳がんだった」
という数字を見て、単純に比較することはできません。
生検をする=「がんの可能性がかなり高い」ではありません
生検を行う理由は、
「がんだと思うから」だけではありません。
画像検査をして、
「良性とは言い切れない」
「画像だけでは判断できない」
「組織を調べたほうが、より確実に診断できる」
という場合に、生検を行います。
つまり、生検は、画像だけではわからないことを、組織や細胞を調べて確かめるための検査なのです。
医師は画像検査の結果と、生検の結果を踏まえて総合的に診断します。
はじめは悪性を疑っていても、最終的な結果が良性であることも、もちろんあります。
まとめ:「生検をしましょう」と言われたら
「生検」と聞くと、不安になるのは自然なことです。
でも、
「生検をすることになった=乳がんである」
ということではありません。
また、「生検を受けた人の何%ががんだった」という数字も、
- どんな患者さんが受診しているか
- どんな病変を対象にしているか
- 細胞診なのか、CNBなのか、VABなのか
- その施設が地域のクリニックなのか、大学病院なのか、基幹病院なのか
によって変わります。
ですから、数字だけで自分の病変の可能性を判断するのではなく、
「なぜこの病変には生検が必要なのか」
を担当医に聞いてみることをおすすめします。
「どこが気になっているのですか?」
「良性の可能性はありますか?」
「なぜ経過観察ではなく、生検が必要なのですか?」
そんな質問をしていただいて構いません。
検査の目的がわかると、「生検になった」という事実だけから想像していた不安が、少し整理できることがあります。
乳腺の検査は、「異常が見つかったら、すぐに乳がん」という、シンプルなものではありません。
画像を見て、必要に応じて経過を見たり、細胞や組織を調べたりしながら、一つひとつ診断を進めていきます。
その中で、生検は、できるだけ確かに知るための情報を得る検査の一つなのです。
私自身も、この画像の所見からは悪性の可能性が高いのでは、と思っても生検の結果が良性であれば、一度立ち止まって考えます。
逆に、画像の所見は良性と思っていたが、生検の結果が悪性を疑うと出ていれば、画像検査を再評価しなくてはいけません。
当院でも、マンモグラフィーや乳腺エコー、様々な生検方法による、精密検査が可能です。
必要な検査はできるだけ迅速に行い、経験豊富な医師とスタッフが丁寧に対応いたします。治療が必要な場合も地域の基幹病院と連携を取っていますので、安心してご相談ください。
あいかブレストクリニックの特徴
- 乳がん検診から精密検査、術後フォローまで一貫対応
- 日本乳癌学会認定の女性乳腺専門医による診療
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