乳がん手術後の痛みや違和感はいつまで続く?つっぱり・チクチクの原因と対処

乳がんの手術を受けた後から、
• 傷のあたりがチクチクする
• つっぱる感じがある
• 感覚が戻らない、違和感が残る
こうした症状に不安を感じていませんか? 「再発では?」と心配される方も少なくありません。
「だいぶ時間が経っているのに違和感がある」 「痛みが完全に消えない」 ⸻
このような術後の慢性的な痛みは10〜30%程度の方にみられると報告されています。
症状の多くは術後の変化によるもので、異常ではないことがほとんどです。
症状に応じたケアで楽になることも多くあります。
乳がんの手術後の痛みの症状
よく伺う訴えとして、
• チクチク・ピリピリした痛み
• 傷のつっぱり感
• 腕を上げにくい
• 感覚の低下やしびれ
などがあります。
原因① 神経の影響
乳がんの手術では、大胸筋や広背筋など重要な筋肉の動きに関わる大切な運動神経は温存しますが、皮膚の表面の感覚をつかさどるような細い神経(知覚神経)は温存しづらく、皮膚の感覚が影響を受けることがあります。 そのために、感覚が鈍くなったり、チクチク・ピリピリした痛みが出る方がいます (神経障害性疼痛) 。
胸の傷の所だけではなく、傷から少し離れた所にも見られます。 乳房温存手術をされた方では、周囲の乳腺組織を寄せて切除した部分が目立たないようにします。そのため、傷から離れたところにも痛みを感じる場合があります。
リンパ節生検やリンパ節郭清を行った場合は、脇や二の腕のあたりなどにも見られます。
術直後にはなくても、神経の回復の過程で起こってくることもあります。
原因② 瘢痕と筋膜の影響
傷が治る過程で 組織が硬くなり(瘢痕)、動きが制限されることがあります。
また、動きの制限が続くと、 肩甲骨のあたり、脇や胸の側面のところの筋肉(筋膜:筋肉が骨に付着するところ)も硬くなってきてしまい、肩が上がりにくくなったり、痛みの原因や違和感につながることがあります。
原因③ 脳の“痛みの記憶”
乳がん手術後の痛みは、単なる身体的な問題だけでなく、心理的な状態と強く関係しています。
一度強い痛みを経験すると、脳や神経が「痛みに敏感な状態」になりやすくなります。
- 痛みを感じる
- 不安や恐怖が強くなる
- 筋肉が緊張する・意識が痛みに集中する
- さらに痛みが強くなる
このように、 痛みが続いた経験、心理的ストレスや抑うつ、不安などで、痛みを感じやすくなることもあります。
乳がんの手術後の痛みは、以下のような名称で呼ばれることがあります。
腋窩ウェブ症候群(axillary web syndrome、AWS)
腋窩ウェブ症候群は、乳がんの手術のうち、わきのリンパ節郭清(リンパ節切除)を受けた患者さんに見られる合併症です。 わきから腕の内側にかけて硬い 索状の硬いものを触れ、 痛みや可動域制限の原因となります。
手術後数日~数週間~数か月に発症することが多く、腋から腕にかけて突っ張る、腕を上げると痛いという症状が見られます。
原因ははっきりとわかっていませんが、リンパ管や血管、神経が傷つけられたり、リンパ液の流れが滞ったりすることによリ繊維組織が出来ることにより症状がみられると考えられています。
乳房切除後症候群(postmastectomy pain syndrome、PMPS)
乳房切除術やリンパ節郭清を受けられた後に 術後3か月以上痛みを感じている方を、乳房切除後症候群(postmastectomy pain syndrome、PMPS)と呼んでいます。
小さな神経の損傷やリンパ浮腫、組織の炎症、瘢痕組織の形成が原因と考えられており、慢性的な痛みが患者さんの精神的な負担につながります。
手術で影響を受けた神経が過敏な状態になり、乳房を切除したところやわき~上腕にかけて、持続的な痛みや刺すような痛み、軽く触れただけでもひりひりとした痛みを感じる、しびれがある、といった訴えがあります。
治療や対処法
① 無理のない範囲で動かす
軽いストレッチや可動域訓練で固まるのを防ぎます。
・タオルの端を持ってゆっくり上にあげるストレッチ
・肩を前後にゆっくり回す肩回しの運動
・壁の前に立ち、指で壁を少しずつ登り痛くない範囲まで腕を上げる壁のぼり運動
「痛いから動かさない」は逆効果。 “少しずつ動かす”ことが回復を早めます。もちろん、強い痛みがある場合は無理しないでください。動かすことで良くなることが多いので、怖がりすぎなくて大丈夫です。
② 温める
入浴や蒸しタオルでの血流改善で症状が軽減することが多いです。からだを温めた後に、①のストレッチをしても良いでしょう。
③ マッサージ・リハビリ
瘢痕や筋膜の柔軟性を改善します。自分で行う場合は、脇〜腕をやさしくさすると緊張緩和・違和感軽減につながります。 通院している病院でリハビリが受けられないか、相談しても良いでしょう。
④ 薬物治療
痛みが強いときは、鎮痛薬や外用薬で和らげることもできます。
⑤その他
身体と心の両方にアプローチすることが効果的です
心理的サポート:
- カウンセリング
- 認知行動療法(考え方のクセを整える)
- 同じ経験をした人との交流(ピアサポート、乳がんヨガ)
リラクゼーション:
- 深呼吸
- 軽いストレッチ
- マインドフルネス
多職種・他の診療科との連携:
ペインクリニックでの神経ブロック注射、リンパ浮腫外来でのリンパドレナージ、心療内科の受診、鍼灸などの専門的治療も必要に応じて検討しましょう。
受診の目安
痛みが強くなっている、しこりや赤みがある といった明らかな変化が場合は、医師に相談しましょう。術後の創部の感染や、局所再発などの除外が必要になることがあります。
日常生活に支障がある 、手術から時間が経っても続く、そのほか不安がある場合は遠慮なくご相談ください。
患者さんへのメッセージ
術後の症状は 体が回復していく過程で起こるものが多く、特に術直後の痛みは数週間〜数ヶ月で改善することが多いです。 適切なケアで楽になることも多いため、気になる症状があればご相談ください。
手術から時間が経っても続く慢性的な症状、チクチク・ピリピリ • 重だるさ • つっぱり感は、天候や疲労で悪化し、日によって変わるのも特徴です。
異常ではないけれど 、我慢する必要もない。
“付き合いながら軽くする” イメージで対処するのが良いと思います。
いろいろな方向からアプローチして、完全にゼロにすることだけが目標ではなく、日常生活が楽になるように、少しずつ軽くできるように。
一緒に考えていきましょう。
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