乳房の生検について①細胞診
乳房のしこりの原因がどのような病気によるものか? 良性なのか、悪性なのか? 悪性であれば、どのような種類のものなのか?...といったことを判断するために、しこりから細胞や組織を取って詳しく調べることがあります。病理検査と呼んでいます。
細胞診と組織診
細胞を取って染色し顕微鏡で観察することを「細胞診」と呼んでいます。
組織を取って染色し顕微鏡で観察することを「組織診」と呼び、「生検」とも呼ばれています。
当院では、病理検査は外部の検査機関に委託しています。採取した細胞や組織を検査機関へ運び、処理し、診断していただくため、結果が出るまで、細胞診は1週間程度、組織診は2週間程度かかります。
細胞診について
乳房の細胞診には、「穿刺吸引細胞診」「乳頭分泌物細胞診」などがあります。
エコー検査で病変を認めたときは、穿刺吸引細胞診を行うことがあります。採血の時に使うような針で病変を刺して細胞を採ってきます。採血では血管の中の血液を採ってきますが、細胞診ではエコーを見ながら、しこりの中の細胞を採ってきます。数分で終わり、出血も少ないので簡便な検査です。
当院のような、乳腺外科のクリニックでは、自覚症状のある方、検診を目的とした方まで、様々な患者さんがいらっしゃいます。エコーを行うと、本人の自覚がなくても、5㎜前後の小さなしこりがみられることはよくあります。がんも初期のうちは小さく、画像上は良悪性の判断が難しいことがあり、 穿刺吸引細胞診は、悪性の除外のためによく行われる検査です。また、乳がんのリンパ節への転移が疑われるときに、リンパ節の穿刺吸引細胞診を行うことがあります。
乳がんの中には、乳頭からの分泌物が唯一の症状であるものも稀にあります。分泌物を採取し、細胞を調べることで(乳頭分泌物の細胞診)診断につながることもあります。