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変わる乳がん診療2026①ルミナルタイプ乳がんの治療の個別化

2月 5, 2026adminBreast check

「不要な治療を減らし、必要な人にはしっかり治療する」時代へ

乳がんの治療は、この数年で大きく進歩しています。
以前は「念のため」「再発の可能性を少しでも減らすために」といった理由で、
多くの方が同じような治療を受けていた時代がありました。

しかし現在は、「本当に必要な治療だけを選ぶ」
という考え方が、乳がん診療の中心になっています。

今回は、最も患者さんが多い
ホルモン受容体陽性・HER2陰性乳がん(いわゆるルミナルタイプ)
について、最近の変化をお話しします。


ホルモン受容体陽性・HER2陰性乳がん (いわゆるルミナルタイプ) とは?

  • 女性ホルモン(エストロゲン)の影響で増殖するタイプ
  • 乳がん全体で最も多い
  • ホルモン療法がよく効くことが特徴です

このタイプの乳がんでは、
「ホルモン剤だけで十分か?」
「抗がん剤も追加した方がいいのか?」
が、治療の大きな分かれ道になります。


① Oncotype DX(オンコタイプDX)

抗がん剤の追加が本当に必要かを判断する遺伝子検査

Oncotype DXは、生検や手術で得られた乳がんの組織を使って行う遺伝子検査です。

この検査では、再発のリスク、抗がん剤を追加するメリット を数値で評価します。

何が変わったの?

以前は「再発が心配だから抗がん剤を」という判断が多くありました。

現在は、Oncotype DXの結果を見て、抗がん剤を省略できる方が増えています。

つまり、不要な抗がん剤治療を減らせる時代になったのです。

🔗 私に抗がん剤治療は必要ですか?~乳がんの再発リスクを予測するツールや検査


② 治療:分子標的薬(CDK4/6阻害薬) ベージニオ(アベマシクリブ)

「再発リスクが高い方」には、しっかり治療を

ルミナルタイプの乳がんは、術後のホルモン療法で再発のリスクをかなり減らすことが出来ます。

一方で、腫瘍が大きくリンパ節転移が複数ある、など再発リスクが高い早期乳がんでは、より強い再発予防が必要な場合があります。

以前は、がんの顔つき、腫瘍の大きさやリンパ節転移の有無などで、再発の可能性が高そうかどうか検討し、リスクの高い方には、”フルコース”と言って、約半年間の抗がん剤(2つのコース)を行い、その後はホルモン療法のみを行っていました。

しかし残念ながら、術後数年で、ホルモン療法に抵抗を示して再発される場合もあります。

このような早期の再発リスクを減らするために、ホルモン療法に追加して使われるようになった薬剤の一つが ベージニオ(アベマシクリブ)です。

ベージニオとは?

  • 抗がん剤ではなく分子標的薬(がん細胞の中の分子=病気の原因となる特定のたんぱく質や遺伝子の異常を狙う薬剤)
  • ホルモン療法に追加して内服
  • 原則 2年間服用

手術とホルモン療法に加えてベージニオを使うことで、再発リスクを下げる効果が示されています。

全員が使う薬ではなく、「再発リスクが高い方」に絞って使用します。

ここにも「必要な人には、しっかり治療」という考え方が反映されています。

今回は触れていませんが、TS-1という内服の抗がん剤も、再発リスクに応じて術後治療の適応になっています。

また、再発された場合に、ホルモン剤への抵抗性を示すようになりますが、これに対する様々な分子標的薬も出てきています。特に、再発乳がんに対する治療は、遺伝子検査と分子標的薬を組み合わせたものが出てきており、また次回以降のブログでお伝えします。


まとめ

同じルミナルタイプであっても、様々な検査や治療が保険適応となり、数年前とずいぶん変わりました。

不要な治療を避け、追加の治療で再発リスクが高い人を守るという、個別化された時代に入っています。

当院で乳がんを診断させていただいた患者様の中にも、この数年で、これらの新しい検査や薬剤の対象になった方がいらっしゃいます。

長い方では2~3年間に及ぶしっかりとした治療を連携先で受け、その後のホルモン療法を当院で継続されています。

次回は、トリプルネガティブ乳がんやHER2陽性乳がんの治療の選択肢についてお話しします。


乳がんの治療は長い道のりです。

「こんなこと話していいのかな?」と思うようなことでも、どうぞ気軽にご相談ください。
一緒に、安心できる毎日をつくっていきましょう。

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