乳がん治療後の心臓・血管ケア| 腫瘍循環器の話
乳がんの治療を終えたあと、
• 「再発は大丈夫だろうか」
• 「これからの体はどう変わっていくのか」
と感じる方は多いと思います。 その中で、あまり知られていない大切な視点があります。
“心臓や血管の健康”です。
乳がん治療後は、心血管のケアも長期的に重要
乳がんサバイバーでは、心血管疾患が長期的な予後(病気の見通しや経過)に影響する重要な要因になることが報告されています。
これを扱うのが、腫瘍循環器学。がん治療と心臓・血管の関係を専門的に扱う分野です。
その目的には以下のようなものがあります。
• 治療による心臓への影響を早期に見つける
• 長期的なリスクを減らす
“がん治療後の健康を守る医療”ともいえます。
なぜ乳がん治療で心血管が重要?
乳がん治療の一部は 心臓や血管に影響する可能性があります。
■ 抗がん剤
心血管に影響する代表的な抗がん剤として、アドリアマイシンが良く知られています。乳がんでは、EC療法、AC療法、FEC療法などで使用されています。
用量が増加するにつれ 心筋へのダメージが 増えます。心不全のリスクは約1〜5%とされています。
■ 抗HER2薬による治療
トラスツズマブなどの抗HER2薬により、 約5〜10%に心機能の低下がみられます。 治療が中止すれば 多くは回復しますが、経過観察が重要です。
■ 放射線治療
放射線治療を受ける患者さんの、約半数が乳がんの患者さんともいわれています。
特に左側の乳がんでは 身体の左側にある、心臓への影響(冠動脈など)があることが指摘されています。 冠動脈疾患は、心臓に酸素と栄養を供給する血管(冠動脈)に問題が生じた状態を指し、心筋梗塞や狭心症が代表的な病気です。冠動脈疾患のリスクが、最長27.5年間のフォローアップで右側の乳がん女性の2倍を超えていたとの報告もあります。
乳がんに対するこれらの薬物治療や放射線治療の重要性は明らかですが、このような心疾患のリスクにも注意しなくてはいけないことが分かってきています。
長期サバイバーで大切なこと
乳がんの10年生存率は、ステージIでは90%を超えるため、いわゆる長期のサバイバーが増加しています。
長期サバイバーでは、治療後は 「がん」だけでなく「心血管リスク」も管理することが重要です。
一般的に、年齢 ・治療歴 ・既往歴・生活習慣などによって、心血管の病気のリスクは変わります。
特に、高血圧、高血糖( 境界型でも)、脂質(コレステロール・中性脂肪)代謝の異常は、動脈硬化の進行に関与します。例えば、コレステロールが高い状態が続くと 動脈硬化がゆっくり進行します。これは 年単位で進み、症状が出にくいのが特徴で、その結果 • 心筋梗塞 • 脳梗塞 のリスクにつながります。 逆に、適切に管理することでリスクを下げることが可能です。
一方、乳がんの放射線治療による心疾患と、喫煙、高血圧、高コレステロールなどの因子が関係しない報告もあり、まだこれから研究が必要と思われます。
治療は段階的に考えていきます。
① 生活習慣の見直し
果物、野菜、全粒穀物、脂肪分の少ないタンパク質、低脂肪乳製品の摂取
活動的に過ごし、座っている時間を減らす
毎日の歩数を増やす(5000歩くらいでも違いが出るようです)
② 経過観察
③ 必要に応じた薬物治療
薬に抵抗がある方もいます。「できれば薬は飲みたくない」 というお気持ちはとても自然です。例えば、コレステロール値は、生活習慣で改善しやすい方、体質的に下がりにくい方 がいます。家族性高コレステロール血症の場合は、生活改善だけでは十分でないことがあります。 一人ひとりに合った方法を選ぶことが重要です。
当院でできること
• 血圧・血液検査の管理 • 生活習慣のアドバイス
• 必要に応じた専門医連携
乳がんだけでなく、その後の健康も
乳がん治療は「ゴール」ではなく これからの人生を安心して過ごすためのスタートです。
そのためには 心臓や血管を含めた全身のケアが大切です。
気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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