乳がん検診の国際比較:日本と海外で違いはある?
海外在住者・外国ルーツの方の受診が増えています
毎年7~8月になると、当院には、夏休みを利用して、海外在住の日本人女性が帰省中に検診を受けに来られるケースが増えます。
また、日本に住んでいる外国にルーツを持つ方の受診も、当院は比較的多いようです。 神戸や大阪などの都市部に近いのと、英語での診察も可能なためと思われます。
アメリカ在住の方は「とにかく医療が高くて日本で検診したほうが安心」とおっしゃいますし、イギリスの方は「無料だけど、予約が取れにくい。医療、特に専門医へのアクセスが悪い。」といった話も。
さまざまなお国の事情を伺うことは、私にとって楽しみの一つです。医療制度の違いを知ることで、日本の制度のありがたさや課題を改めて考える機会にもなっています。
今回は「乳がん検診」について、アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・韓国・日本の主要6カ国を比較しながら、年齢・頻度・検査内容・費用などをわかりやすくまとめてみました。
「海外では何歳から検診を受けるの?」「費用は?」「日本の基準は遅れているの?」そんな疑問にお答えします!
国別ガイドライン比較
| 国・地域 | 推奨開始年齢 | 頻度 | 主な検査内容 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 🇺🇸 アメリカ(USPSTF) | 40歳〜 | 2年に1回 | マンモグラフィー | 一部団体は毎年検診を推奨。最近、開始年齢を50→40歳に前倒し |
| 🇬🇧 イギリス(NHS) | 50〜71歳 | 3年に1回 | マンモグラフィー | 50歳未満は原則対象外(高リスク者は除く) |
| 🇨🇦 カナダ | 50歳〜(一部40歳〜) | 2〜3年に1回 | マンモグラフィー | 州によって違いがある |
| 🇦🇺 オーストラリア | 50〜74歳 | 2年に1回 | マンモグラフィー | 40〜49歳・75歳以上も医師と相談すれば可能 |
| 🇰🇷 韓国 | 40歳〜 | 2年に1回 | マンモグラフィー | 日本とほぼ同様 |
| 🇯🇵 日本 | 40歳〜 | 2年に1回 | マンモグラフィー | 自治体により費用や通知方法が異なる |
費用の比較
| 国・地域 | 公的補助 | 自費の場合の費用(目安) | 備考 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 保険適用あり | 約100〜250ドル | 保険や医療機関により異なる |
| イギリス | NHSが全額負担 | 無料 | 公的医療制度の恩恵 |
| カナダ | 州によって無料 | 無料〜一部負担 | 多くは無料 |
| オーストラリア | 無料 | 無料 | 50〜74歳の女性が対象 |
| 韓国 | 公的制度あり | 約1,000〜2,000円程度 | 国のがん検診プログラムで安価に受診可能 |
| 日本 | 自治体の補助あり | 数百〜数千円程度 | 自治体によって異なる |
乳がん治療費の国際的な違いは?
ちなみに、実際に乳がんが見つかった場合の治療費負担も国によって大きく異なります。
| 国・地域 | 治療費の負担状況 | 備考 |
|---|---|---|
| アメリカ | 高額(数百万円以上になることも) | 民間保険加入の有無が大きく影響 |
| イギリス | 原則無料(NHSカバー) | 公的医療制度が整備されている |
| カナダ | 原則無料(州の医療制度で) | 一部薬剤や先進治療は有料の場合も |
| オーストラリア | 多くが公的制度でカバー | 一部自己負担あり(プライベート利用時) |
| 韓国 | 国民健康保険で大幅軽減 | 自己負担率は約5〜10%程度まで圧縮される |
| 日本 | 公的医療保険で自己負担1~3割 | 高額療養費制度で負担が抑えられるケースが多い |
乳がんの手術、放射線治療、抗がん剤治療、ホルモン療法などが必要になる場合でも、日本では高額療養費制度により、自己負担が一定額で上限されるのが特徴です。
🇬🇧 イギリス(NHS)|公的医療制度が充実
イギリスでは、NHS(National Health Service:国民保健サービス)によって、乳がん検診や治療が基本的に無料で提供されています。NHSは税金によって運営されており、全ての住民が等しく医療を受けられることを原則としています。
✅ NHSによる乳がん検診の特徴:
- 対象年齢:50〜71歳の女性(3年ごとに案内が届く)
- 費用:完全無料(受診も検査も)
- 検査場所:NHSの専用施設やモバイル検診車(地方にも対応)
- 70歳以上の女性は自己申請すれば受診可能
⚠️ 注意点:
予約までに数週間〜数か月待ちになることもあります。
治療に関しても、乳がんと診断された場合は、手術・放射線・薬物治療なども原則無料で受けられます。ただし、希望する病院や治療法によっては時間がかかることもあり、一部の人はプライベート医療(私立病院)を利用することもあります。
🇺🇸 アメリカ|民間医療保険による医療制度
アメリカには日本のような全国民対象の公的健康保険制度がありません。そのため、多くの人は企業経由や個人で**民間の医療保険(private health insurance)**に加入しています。
✅ 医療保険と乳がん検診:
- 保険に入っているかどうかで費用が大きく異なる
- 保険に加入していれば、乳がん検診は「予防医療」として無料でカバーされることが多い
- 40歳以上の女性には、2年に1回のマンモグラフィーを無償で受けられるケースが多い(※保険プランによる)
⚠️ 無保険の場合:
- マンモグラフィー:1回 100〜300ドル程度(施設により異なる)
- 診察や精密検査、治療に進むと、数千〜数万ドル以上の高額負担になることも
- 低所得者向けには「Medicaid」や「州の支援プログラム」があるが、州ごとに適用条件が異なる
🏥 治療費の実例(保険なし):
| 項目 | 平均費用(目安) |
|---|---|
| マンモグラフィー | $100〜$250 |
| 生検(組織検査) | $1,000〜$3,000 |
| 乳がん手術 | $10,000〜$30,000以上 |
| 放射線治療 | $5,000〜$20,000 |
| 抗がん剤治療 | $10,000〜$100,000+ |
- イギリスでは、NHSにより無料で等しい医療を提供する制度が整っていますが、待ち時間や選択肢の制限が。
- アメリカは高度な医療技術が揃っている反面、保険がなければ極めて高額になる医療制度。
- 日本に一時帰国中に乳がん検診を希望される海外在住の方が多いのも、こうした制度の背景があるようです。
まとめ:早期発見が命を守る、という認識は世界共通
- 40歳を目安に乳がん検診(マンモグラフィ)を始める国が増えています。
- 治療費も国ごとに異なるが、日本は公的保険と高額療養費制度で負担が抑えられます。
- 海外からの帰国受診や外国ルーツの方の増加は、これからのクリニックにとって国際的な視点をもつことの重要性を物語っています。
📌 まずは知ることから、そして行動へ
日本にお住いの方は、お住まいの市区町村での乳がん検診情報を、ぜひチェックしてみてください。費用助成や無料クーポンの配布などもあります。
ご自身が加入されている健康保険によっては、乳がん検診の助成があることも。
🏥 当院での乳がん検診について
当院では、海外在住の受診者の、以下のようなご希望にも対応しています:
- 英語での対応が可能です。海外在住の方や外国籍の方も安心してご来院いただけます。
- 日本の健康保険証をお持ちでない方も、自費で検査が受けられます。
- ご希望の方には、マンモグラフィーや超音波検査の画像データ(CD-R等)や、英語による診断レポートの作成も承っております(※別途費用がかかります)。
ご帰国中の限られた時間内でも、柔軟に対応いたします。お気軽にお問い合わせください。
📍 神戸・大阪エリアにお住いの外国にルーツを持つ方へ
医療制度や言語の壁に不安を感じておられる方も、
「わかりやすく丁寧に」をモットーに対応いたしますので、安心してご相談ください。
日本の健康保険に加入している場合、気になるところがあれば、診察や検査の一部の費用は、保険がカバーしてくれます。
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