胸が大きいと乳がんになりやすい?

診療の中で患者さまからよくいただく質問に、「胸が大きいと乳がんになりやすいですか?」というものがあります。
「私は胸が小さいので乳がんは大丈夫かなと思っています」というのもよくある誤解。
今回は、胸の大きさに関する誤解、乳がんと関係する「乳房の構成」や「高濃度乳房」についてもわかりやすく解説します。
胸の大きさと乳がんリスクは関係ある?
結論からお伝えすると、胸の大きさそのものが乳がんの発症リスクを高めることはありません。
乳房の大きさは主に脂肪の量と、母乳をつくる乳腺の量で決まります。
乳がんは、乳腺から発生します。
胸が大きい場合に、脂肪が多くても乳腺の量が多いとは限らないため、「胸が大きい=乳がんになりやすい」とは言えません。
では乳腺が多い人はどうなのでしょう??
乳房の構成と「高濃度乳房」
乳房は大きく分けて乳腺・脂肪・結合組織でできています。
マンモグラフィ(乳房X線)で見ると、乳腺は白く、脂肪は黒く写ります。
乳腺の割合が多く、全体が白っぽく写る乳房を「高濃度乳房」と呼びます。
高濃度乳房の特徴
- 乳がんリスクがやや高い
乳腺が多い人は、脂肪が多い人に比べて乳がんの発症率がやや高いことがわかっています。
理由は、乳腺細胞の数やホルモンの影響と考えられています。 - マンモグラフィで見つけにくい
乳がんも白く写るため、白い乳腺に隠れてしまい、早期発見が難しいことがあります。
そのため、超音波検査やMRIの併用が有効です。

自分が高濃度乳房かどうかを知るには?
高濃度乳房かどうかは、マンモグラフィ検査で判定します。
見た目や触診ではわかりません。
気になる場合は検診の際に確認してみましょう。
ほかに何が乳がんのリスクになるの?
乳がんの発症リスクを高めることが分かっている要因には、次のようなものがあります。
- 家族に乳がんの既往がある(遺伝的要因)
- 初潮が早かった、または閉経が遅い
- 出産経験がない、または初産が高年齢
- 授乳経験がない
- ホルモン補充療法の使用
- 飲酒や肥満
乳がんのなりやすさは、ホルモン環境・遺伝・生活習慣など様々な要因が関係します。
大切なのは早期発見
胸の大きさに関わらず、また高濃度乳房かどうかに関わらず、
早期発見のための定期的な検診が何より大切です。
- 少なくとも40歳以上になったら乳がん検診を受けましょう
- 高濃度乳房の方はマンモ+超音波の併用がおすすめ
まとめ
- 胸の大きさは乳がんのなりやすさに直接関係しません。
- 高濃度乳房はリスクがやや高く、マンモグラフィーだけでは乳がんが見つけにくい特徴があります。
- 定期的な検診と、必要に応じた検査の組み合わせが早期発見の鍵です。
▷ 参考になるリンク 高濃度乳房って何?|一般社団法人 日本乳癌学会