マンモグラフィ検査の誤解 ~「おっぱいをつぶす検査?」ではありません~
こんにちは。あいかブレストクリニック院長の松之木です。
今日は、マンモグラフィ検査にまつわる誤解についてお話ししたいと思います。
◆「おっぱいをバシンとつぶす」? そのイメージ、少し違います
初めてマンモグラフィを受ける方の中には、マンモグラフィ検査と聞くと、「おっぱいをギューッとつぶして撮影する、痛い検査」というイメージを持たれている方が多くいらっしゃいます。
中には両手を重ねて、「こうやってつぶすんですよね」とジェスチャーをされる方もいらっしゃいます。こちらとしては、思わず苦笑いしてしまいますが、それだけ「怖そう」「痛そう」という先入観が広まっているのだなと感じます。
◆実際は「乳房を整えて撮る」検査です
実際のマンモグラフィは、“つぶす”というより、乳房の形を整えて撮影する検査です。
乳房は乳腺や脂肪からできており、胸の筋肉(大胸筋・小胸筋・前鋸筋など)=胸壁の上に乗っているだけの組織です。筋肉にくっついているわけではありません。
そのため、マンモグラフィでは乳房をやさしく前方に引き出し、撮影台の上にのせて伸ばすように配置します。その状態を保つために、数秒間プレートで固定して撮影します。
今日いらした患者さんが「形を整えて撮るんですね」とおっしゃっていましたが、まさにその通り。マンモグラフィは“整える”ための工夫が詰まった検査なのです。
◆ちょっと引っ張られる感覚があります
撮影では、乳房の奥の筋肉に近い層まで写す必要があります。そのため、胸壁に近い部分が少し引っ張られるような感覚があるかもしれません。
また、撮影の際には首を横に傾けたり、肩を少し動かしたりと、体勢を調整する必要があります。肩や首まわりがかたい方は、少し大変に感じることもあるかもしれません。
無理のない範囲でサポートしますので、姿勢がつらいときや痛みがあるときは、遠慮なくお声かけくださいね。
◆技師は「痛みを減らし、いかに乳房をきれいに、安全に写すか」のプロ
乳房は胸壁の上の比較的柔らかく“フリー”に動く組織です。そのため、撮影の際にはこの乳房をうまく引き出し、全体が写るように「形を整える」必要があります。
ただ押しつぶすのではなく、乳房全体をカバーできるように広げて、きちんと固定して撮る――それが、マンモグラフィ撮影技師の腕の見せ所。
当院の技師は、撮影の際にできるだけ死角がないように乳房のすみずみまでしっかり写すとともに、被ばく量を最小限に抑えること、そして痛みをできるだけ減らすことを常に意識して撮影しています。
「押しつぶす」のではなく、乳房という“動かせる組織”をどうやって広げ、整え、確実に写すか。その技術と経験が、マンモグラフィの質を左右します。
◆最後に:正しく知って、安心して検査を
「マンモグラフィはつぶすから痛い」と思って敬遠される方も少なくありません。でも、実際は“つぶす検査”ではなく、乳房を整えて、安全に、きちんと写す検査です。
少しのコツと工夫で、検査の負担はぐっと減らせます。ご不安がある方は、いつでもご相談ください。