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早期の乳がんの治療では、再発を予防するために、全身にあるかもしれない、目に見えないがん細胞を叩く薬物療法を手術の前後に行うのが一般的です。
抗がん剤治療(化学療法)は、がんの進行を抑えたり、再発リスクを減らすために用いられる治療法の一つですが、必ずしも全員に必要なわけではありません。
一般的に、がんの再発の可能性は、がんの性格(ホルモン受容体、悪性度、HER2の状態)やがんの進行度( がんが大きかったり、リンパ節転移がある場合は再発リスクが高い)に左右されます。これらの情報をもとに、患者さんがどのくらい再発する可能性があるかを予測し、がんのタイプに応じてどのような薬物療法を行うか検討します。
また、近年では、患者さんの乳がんのがん細胞を遺伝子レベルで解析して、再発の確率を予測できるようになり、患者ごとのオーダーメイドの治療がさらに広がっています。
乳がん治療後の再発リスクを予測することは、患者さんにとって非常に重要な情報です。
再発リスクを評価するための、いくつかのツールや検査について紹介します。
>Personalising Treatment Decisions| Oncotype DX® Tests | Oncotype IQ® International
オンコタイプDXは、ホルモン受容体陽性乳がんの患者に対して化学療法が必要かどうかを判断するための有用なツールです。再発スコアが低い場合、化学療法は不要であることが多いですが、スコアが高い場合は化学療法が推奨されます。
2023年9月から保険適用となり、患者さんの費用負担が軽減されました。
マンマプリントは、70種類の遺伝子を分析することで、乳がんの再発リスクを評価する検査です。オンコタイプDXと同様に、再発リスクを高リスク・低リスクに分類しますが、マンマプリントはホルモン受容体の状況に関わらず、さまざまなタイプの乳がんに適用可能です。
> Predict Breast
Predictは、インターネット上で無料で利用できるツールで、乳がんの再発リスクや治療効果を予測します。イギリスのケンブリッジ大学が開発したもので、患者の年齢、腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、ホルモン受容体やHER2の発現状況などの情報を入力することで、10年生存率や再発リスクを数値化します。
Adjuvant! Onlineは、乳がん患者の再発リスクや治療効果を評価するために使われていたツールです。過去に非常に広く使われていましたが、現在は更新されていません。
乳がんの治療方針は、がんの進行度、がんのタイプ(ホルモン受容体やHER2)、患者の年齢や健康状態に基づいて個別に決定されます。また、遺伝子発現プロファイリング検査(オンコタイプDXやマンマプリントなど)によって、再発リスクが高いと判断された場合、化学療法が推奨されることがあります。
抗がん剤(化学療法)が必要になるのは、主に再発リスクが高いと判断された場合や、HER2陽性乳がん、分子標的治療・ホルモン療法が適応されないタイプの乳がんの場合です。再発リスクが低い場合や、ホルモン療法で十分に効果が見込まれる場合は、化学療法が不要となることもあります。
医師と相談し、個別の状況に応じた最適な治療を選択することが大切です。