乳がん患者さんと新型コロナウイルスワクチン
ワクチンを接種すべき?
新型コロナワクチンには予防効果というベネフィット(利益)と様々な副反応が生じるかもしれないというリスク(不利益)があります。がん患者さんでは、接種により、発症や重症化の予防、検査やがん治療を遅らせることなく、安全に進めらることができます。がん患者さんにおける有効性、副反応についての調査や報告はまだ少ないのですが、がん患者さんにおける重症化の可能性を考慮すると、ベネフィットがリスクを上回ると考えられています。ベネフィットとリスクを理解し、主治医の先生と相談して判断することが大切です。
接種するときに気をつけることは?
現在使用されている、ファイザー社による新型コロナワクチンは、原則、三角筋という肩~上腕にある筋肉での接種を推奨しています。乳がんの手術側の三角筋にワクチンを接種した場合に、リンパ浮腫を起こしやすいかどうかについての知見は現時点では十分ではありません。
また、新型コロナワクチン接種後の副反応として、倦怠感や頭痛、発熱などのほかに、わきの下のリンパ節の腫れ(腋窩リンパ節腫大)がみられることが報告されています。ワクチン接種後のリンパ節の腫れは、がんのリンパ節転移とまぎらわしい可能性もあります。
これらの問題を解決するために、日本のがん専門の学会では、乳がんの治療後は、反対側の三角筋に接種する、両側の手術後の場合には、大腿(もも)の筋肉に接種する選択肢を紹介しています。
CT、PET-CTなどの画像検査を予定する場合には、可能であれば接種から4~6週間の間隔をあけることも考慮して下さい。もちろん、治療や診断のために必要な検査は遅らせる必要はありません。
参考となるリンク・文献
日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A-患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版-
こびナビ – COV-Navi (covnavi.jp) 新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する情報